妻は「ホスト依存症」で借金400万円、それでも離婚しない夫の“負い目”とは

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改心を見せた妻

 銀行のカードローンは限度額めいっぱい借りていた。会社には知られたくない。督促状が会社に来る。かといってホストに切られるのも怖い。八方塞がりとなって、とうとう音を上げたのである。

「正直言って、呆れました。社会人として、一家の主婦として母親としてどうなんだ、と。ホストと関係があったことも衝撃だったけど、それ以上に、そこまではまってしまう彼女の精神状態に驚いた」

 とにかく借金を返済しなければならない。淳一郎さんは肩代わりすると言った。その代わり、ホストクラブにはもう行かないでほしいと頼んだ。妻ももちろん了承した。夫婦だけの秘密の話だ。だが、妻に現金を渡したら、またホストクラブに行ってしまう可能性がある。彼は妻とともに銀行へ行き、借金を返済して、カードの利用を止めた。

「もう行かない、ごめんなさいと妻は泣いていました。ただねえ、そこは僕もつらいところで……。下の子が産まれたあと、僕は原因不明の糖尿病になって夫婦関係ができなくなってしまったんです。優理子は子どもが生まれてから、性欲が高まっていたようなんです。満たしてあげたいと僕もいろいろ工夫はしたんですが……満足できなかったんでしょう。恋心と性欲を満たしてくれるホストから離れられなくなっていったようです。他の女性にマウントをとれる状態も気持ちよかったんでしょう」

 借金を返済してから、妻はもとの彼女に戻ったように見えた。いつも子どものめんどうを見てくれるからと、淳一郎さんの母にさりげないプレゼントを買ってきたりもした。誕生日やクリスマス以外に、妻がそういうことをするのは珍しかった。

「母に寄り添おうとしてくれているのがわかってうれしかった。母もますます張り切って、家事万端、やってくれていました。そんな母に優理子は『週末はお義母さんも、ゆっくり休んで』と子どもたちのために料理を作っていた。だけど子どもたちは祖母の料理に慣れているので、『おばあちゃんのカレーがおいしい』なんて言うわけです。母は栄養士で、料理も得意だったのが妻の不運というか……。妻は『料理教室に通う』と言い出しました」

妻に怒りがわくというより…

 淡々と語る淳一郎さんだが、妻が若いホストと関係をもっていることはどう思っていたのだろう。そこを突くと、彼は少しの間、押し黙った。

「あのときは金額の大きさにまず驚いたんです。それからいい母親だと思っていた優理子が、どうしてそんなことになったんだろう、借金してということは、つまりホストに貢いだようなもので。何が彼女をそんなに追いつめたんだろうと考えたら、自分の病気に思いが至って。妻に怒りがわくというより、とてもせつないような苦いものがこみ上げてくるような、そんな思いでした」

 そして彼自身もおそらく危惧していたであろう「料理教室」が、実はホストクラブ通いであったことがのちのち発覚した。

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