夏の甲子園は不作?「目玉は浅野翔吾だけ」との声も 地方大会で敗れたドラフト候補の“気になる評価”

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甲子園と無縁でも、プロで活躍する選手は多い

 一方の投手で、プロ側の評価が高くなりそうなのが、苫小牧中央・斉藤優汰と
東海大札幌・門別啓人、常葉大菊川・安西叶翔である。

 斉藤は、190cm近い長身から繰り出す最速151キロのストレートが魅力の大型右腕で、門別は、春の地区大会で1試合20奪三振をマークした本格派サウスポーだ。ともに北海道では昨年から評判の投手だった。この夏も多くのスカウトが視察に訪れており、上位で指名される可能性は高い。

 安西は、春から夏にかけて一気に評価を上げている。東海地区担当スカウトは、安西について「東海地区の投手で間違いなくナンバーワン」と高い評価を与えている。

「下級生の頃からいいボールは投げていたのですが、なかなか結果が出ない。監督に聞くと投げてみないと分からないと言うんですね。ちょっと高校の間には厳しいかなと思って、彼を見ていたのですが、春から急に球筋が安定してきました。関東の大学から進学の話があったのを断って、プロ志望に絞ったことが良かったのかもしれません。球が速いだけではなくて、腕が長くて(サイドスローの)独特の角度がある点も評価しています。夏の静岡県大会は、コロナに感染してしまい、2試合しか投げられませんでしたが、その内容は素晴らしかった」(東海地区担当スカウト)

 筆者が取材で訪れた夏の静岡大会、対市沼津戦には、安西を目当てに20人以上のスカウトが集結しており、その注目度の高さに驚かされた。安西は、8回を8奪三振、四死球0で無失点と、圧巻のピッチングを見せた。この試合で、ストレートの最速は146キロをマークしている。

 プロで活躍している選手を見ても、甲子園に縁がなかった選手は多く、逆に「甲子園のスター」がプロの世界で苦労するというケースがよく見られる。果たして、ここで取り上げた選手が、どのような順位で指名されるのか。10月20日のドラフト会議に向けて、12球団の情報戦は、最後まで繰り広げられることになるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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