巨人、3位浮上のためにいま打つべき手は【柴田勲のセブンアイズ】

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投手陣の改善点

 巨人投手陣はピンチや肝心の場面でボールが高めに浮く。甘く入るなどのコントロールミスが目立つ。大城卓三は普通に構えてミットだけ低くしているが、体全体をもっと低くした姿勢で構えてほしい。

 大城は体が大きいから大変だろうがマウンドの投手は普通に構えてミットだけ低くした場合より低めを強く意識するようになる。だいぶ違ってくるはずだ。

 大城だけではなく他の捕手たちもブルペンから実践してもらいたい。

 4番から降格した岡本和真に復調の気配が見え始めた。4番に戻した方がいい、こんな意見もあるようだ。私はまだ早いと思う。

 迫力がない。もう少し前さばきができないとすぐに戻ってしまう。ボール球に手を出している。中田翔は内角高めの速い球を打てないが他のボールをうまく打っている。もう少し4番を任せてもいいと思う。

残り試合で打つべき手

 それにしてもヤクルトの村上宗隆はすごい。三冠王は確実だろう。王(貞治)さんの心境に達しているのではないか。

 王さんは相手投手が逃げて四球攻めをしてきてもドッシリと落ち着いていた。「オレは四球でもいいよ。打てる球が来たら打つ」。そして甘い球を決して見逃さなかった。

 村上の四球数も「97」と断トツだ。当然出塁率だって高くなる。無理をしない。現在14打席連続出塁で2013年に廣瀬純(広島)が作った日本記録にあと「1」と迫っている。50号本塁打にも王手をかけている。

 岡本和だっていい時もあったのだが、このあたりの違いだろう。何度も強調するが野球はエースと4番だ。菅野が頼もしい姿を取り戻しつつある。岡本和はもっと調子を上げて4番を奪回すればチームに勢いが出る。

 巨人はチーム力から見てBクラス、ましてや5位にいるチームではない。最下位なんて考えられない。

 確かにコロナ禍に見舞われたが、それは他球団も同じだ。3位に浮上できず、このままBクラスで終わってしまうようならいろんな問題が噴出するだろう。

 30日からヤクルト2連戦(京セラドーム大阪)、9月2日から阪神3連戦(甲子園)だ。まずはヤクルトに一泡吹かせ、3位の阪神を3タテする気持ちで臨んでほしい。

 最後にもう一度言う。打つべき手を打つ時がやって来た。(成績は29日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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