みそ汁は「若返りスープ」だった 「凍み豆腐」「卵かけご飯」…幸せな老後のための伝統長寿食

ドクター新潮 健康 食事

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老化を防ぐ副菜

 まずはお米のご飯。和食の中でも最重要なお米は、日本食の味のベースにもなっています。米を食べるということは、必然的に納豆や漬物、魚といったお米に合う味のものを食べることにつながり、自ずと脂肪系の食べ物は摂取量が減っていきます。

 また、多くの日本人が好む炊き立てのご飯の3分の2は水分であり、腹持ちが良く、食べ応えがあるわりにカロリーが抑えられる効果もあります。和食の主役である米のご飯そのものが、まずもってヘルシーなのです。

 次に主菜(メインディッシュ)。日本人は主に魚類を主菜としてきました。魚からは動物性タンパク質が摂取でき、同時に頭脳力向上に寄与するDHA(ドコサヘキサエン酸)と血液をサラサラにする効果があるEPA(エイコサペンタエン酸)を取ることができます。

 さらに副菜はイモ類やダイコン、ニンジン、ゴボウといった根菜類の煮物、あるいはホウレン草や小松菜のおひたしなどが好まれてきました。根菜類などの新鮮な野菜は、ビタミンCやカロテン、抗酸化成分のポリフェノールが豊富なので、身体の酸化、すなわち老化を防いでくれます。

 そして副々菜は納豆やお豆腐といった大豆系が多く添えられます。「畑の肉」ともいわれる大豆にはタンパク質が35%も含まれていて、牛肉や豚肉は約20%なので、より効率よくタンパク質を摂取できます。縄文時代には肉食文化がありましたが、仏教が入ってきて肉食がタブーになりました。そこで、先人たちは大豆のタンパク質を栄養源として活用したのです。

みそ汁と漬物の力

 これら三菜にみそ汁と漬物が加わります。

 みそに多く含まれるイソフラボンやアミノ酸は動脈硬化抑制効果があります。

 また漬物には、米ぬかであればビタミンB類やE、ミネラルなどが含まれているため、漬物自体にも多くの栄養が染み込みます。さらに発酵過程で酵母や乳酸菌といった生菌が増殖します。これらが腸に届き、ビフィズス菌などの善玉菌を増やしてくれる。人間の免疫機能の70%は腸が司っているといわれており、ぬか漬けを食べることによって腸内環境が整い、免疫力アップにもつながるのです。乳酸菌などの生菌が豊富なことから、ぬか漬けは「米ぬかヨーグルト」とも呼ばれるほど、大変優秀な発酵食品といえます。

 このように、ご飯を中心に一汁三菜と漬物という膳のスタイルは、極めて栄養に富んでいるわけですが、組み合わせもまた素晴らしい。それは米と大豆がセットになっている点です。

 米にはタンパク質が約7%含まれている分、細胞組織の成長を促してくれるリジンというアミノ酸は少ない。一方、大豆にはそのリジンが多く含まれている。大豆には米に足りないタンパク質が多く、歴史的に見て、肉を食べなくても長生きできた。つまり、米と大豆が美しいまでに補完し合っているのです。

 誰に教えられたわけでもなく、経験を積み重ねてきた結果、日本人はこの見事な一汁三菜のバランス食にたどり着き、寿命を延ばしてきたのです。

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