落合博満氏が語った「巨人退団の真相」は「事実とは異なる」 当時の長嶋監督参謀が証言

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「うそだとは言い切れませんが…」

“落合氏自身が清原獲得を提言した”という話は、

「存じ上げません。長嶋監督と二人だけの会話だといいますし、いつのことかも特定されていませんので、うそだとは言い切れませんが、そのような話があったら、長嶋監督から私にも話があるはずなのですが。あるいは、私に上げるほど重要な話ではないと監督が判断されたのでしょうか。いずれにしましても、落合さんの提言で清原獲得が始まったというのは誤りです」

 だがなぜ渡邉社長は“清原が取れる”と言ったのか。

「“清原が巨人に行きたがっている”という情報を渡邉さんにもたらしたのは中村長芳氏。岸信介政権時の総理秘書官で、渡邉社長が政治部記者だった頃からの付き合いです。後にクラウンライターライオンズのオーナーとなった中村氏は、球団を西武に売却する際、息子を雇ってもらうことにした。厳密には、その息子からの情報でした」

 どうだろう。落合氏よりはるかに具体的で説得力ある内幕暴露ではないか。

「落合を保険とする」

 落合氏の動画は、自身の退団に話を転じていく。

〈シーズン中に渡邉オーナー(正しくは本社社長)から“来季のことはもう言ってあるから、球団の人間と話しろ”って言うから、来季もここに残るんだなっていうふうな意味合いでとったけども。その中に入った三人がまるっきり違う行動に出ちゃったっていうのが真相じゃないのかな〉

 渡邉社長の発言は96年8月のことで、“三人”の名前は明かしていないがフロントの人物だという。

 これについて河田氏は、

「本件に関する職責からすると深谷尚徳球団代表と鯉渕昇代表補佐は間違いなく含まれる。あと一人は私? それはわかりません。ただ、ファクトはこうです。『清原を獲得したら落合と契約しない』、これは96年8月13日、本社社長室で渡邉社長が先の二人と話し合い、意思統一されたことです」

 つまり、“落合放出”は渡邉社長の了承済みだった。さては落合サン、ナベツネさんに一杯食わされたか。

 河田氏の話は続く。

「この時、清原獲得に失敗した際の対応も話し合われ、『落合を1年残して保険とする』『松中信彦(当時のドラフト有力候補。後にダイエーに入団し、三冠王を獲得)を絶対に確保する』ことも決まりました」

 いやはや、こうなると、もはや落合氏が気の毒に思えてくるではないか。

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