インタビュー中に号泣 熊切あさ美が今でも恩人と語る意外な人物とは?
実は打たれ弱く…精神が崖っぷちに
崖っぷちアイドルとしてブレイクした2000年代前半、まだ体を張る女性タレントは少ない中で熊切はバンジージャンプにスカイダイビングと、とにかく体を張った。その後、女芸人や鈴木奈々など体を張る女性タレントの先駆者といえる。
「あの当時は出川哲朗さんと亡くなった上島竜兵さんが男性では体を張っていて、女の子では私以上にやっている人が女性芸人でもいなかったと思います。その後に森三中の大島美幸ちゃんが入ってきて、と一緒に体を張りました」
崖っぷちアイドルのイメージから、熊切には叩いてもへこたれないイメージがある。しかし実際の姿は世間が思うものとは真逆だという。
「実はすごく打たれ弱いんですよ。あっさりしてるように見えて、もう延々と傷ついていました。崖っぷちアイドルとして仕事をもらえているありがたさもあったんですけど、付き合っている人が周りから『崖っぷちと付き合ってるんだ』と言われ、それに傷ついたり。現場では楽しいけれど、家に帰ると『オンエアで流されたらどう思われるかな』と落ち込む。好感度がない人に限って、好感度を気にするじゃないですか? まさにそれでした」
バラエティー番組で体を張る日々は、熊切の精神を崖っぷちに追い込んでいった。
「バンジージャンプであったり、8メートルの滝から飛び降りたりは、怖いけれど、1回目はお仕事いただいてるから頑張ってできる。でも怖いことって、体が恐怖を覚えちゃうので2回目はできないんですよ。それなのにテレビ局のスタッフさんや事務所のマネージャーさんは『1回できたから次もできるよね?』となるんです」
あるバラエティー番組では、クワガタに鼻を挟まれた。
「ADさんの発注ミスでひと回り大きいクワガタが来たんですよ。クワガタは私の右の鼻を挟んだんですけど、するとスタッフさんから『違う。鼻の穴の間を挟んで』と言われて、もう一回やり直してと言われて。でも、クワガタだから言うことを聞かない。そういうことを何度もやっているうちにだんだん体がボロボロになっていって......」
それでもいつかは頑張っていたら、目標とする演技の仕事にたどり着けると体を張り続けた。しかし、頑張れば頑張るほど「崖っぷち」の色がつき、事務所が売り込みに行っても演技の仕事は断られた。精神的に落ち込むことも増え、体は限界。これ以上は崖っぷちアイドルは続けられないと、事務所を辞めることを決断する。
「いろんな人に相談をして、止める方も多かったです。たかじんさんは私が事務所を辞めようか悩んでいる時に、昔のバイト先に連れて行ってくれて『俺は事務所に入ったことなくて、売れない時期、ここで働いてたんだぞ。事務所とかじゃなく、自分の人生だからやめたいと思ったらやめたらいい。引き続き番組は出せるから』と言ってくれました」
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