純粋か鈍感か? 批判続出の「ちむどんどん」 愛される朝ドラヒロイン像に変化あり?

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朝ドラはもはや時代を映す鏡ではない? 2022年の「ヒットメーカー」たちとの共通点

「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」と反町隆史さんが歌った時代、ドラマは男も女もスカッとジャパン状態。忖度と建前だらけの社会にズバッと言って大成功!なキャラと展開が実に多かった。でも相手を傷つけないよう気を配るべきという価値観が広がった今、「ちむどんどん」のようなヒロインは「常識がない」と映る。シンデレラストーリーも「子どもだまし」に見える。総じて、「リアリティーのない」ドラマになる。

 朝ドラはもはや、時代を映す鏡ではないのだろうか。でも今年ほど、暢子さながら「イライラさせる自己主張の強い人」に注目とお金が集まった年もない。私怨で芸能人のプライベート情報を暴露し続けるガーシー氏は議員に当選し、才賀紀左衛門さんは裁判沙汰になりながらも子育てブログで稼ぎ続ける。小林麻耶さんや木下優樹菜さん、坂口杏里さんら、暢子チックな自我の強さと恋愛体質は耳目を集めた。

「ちむどんどん」も不思議なことに、批判が増えてから視聴率が復調傾向にある。最も低かったのは5月4日の13.6%で、少し持ち直すが6月27日に14.2%に再びダウン。しかし炎上を報じるニュースが増えた7月後半から、15%後半から16%前半に戻ってきている。

「朝から気分が悪い」「根気よく見てる自分偉い」などのコメントに、だったら見なきゃいいのにと言うのは見当違いだ。不快さよりも、一言言ってやりたいという欲が勝つドラマという中毒性。それはひとつの成功であり、時代を映した「勝ち方」なのではないだろうかとも思うのである。

 リアリティーや常識を声高に叫ぶ人ほど、ぶっとんだ展開や非常識な人間を潜在的に求めているのかもしれない。言いたいことを言われっぱなしの黒島さんは苦しいだろうが、なんとか走り抜いてほしいものだ。時には沖縄の海をバックに、反町さんの歌を大声で歌うのもいい息抜きになるのでは。書いていて気付いた。それは「Forever」だった。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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