五輪招致、高橋元理事への捜査のウラで… 森元総理の「胸像」建立がスタート、背景に「森ファミリー」利権が
「答えられない」と言いつつ…
高橋氏と関係が深いといわれるJVについて聞くと、
「そっちはねえ、わりと自然を生かしながらやろうって、まともなんですよ。だけど(先の)あそこのはねぇ。あれだけは絶対困るなって。せっかくスポーツクラスターとかね、森を守ろうって言ってたのに全く反する商業だけなんです。環境も守らないで」
五輪招致を巡るカネの質問をしても、それを遮るように持論をまくしたてる。
「銀杏の根がずっと出てきているんですよ。根を切っちゃうとみんな枯れちゃうんですよ。2年くらいで。これ今からでも遅くないからそれだけやめてほしいよ。緑が無くなっちゃってね、神宮が無くなっちゃってね、あそこの全体がビルとかホテルになるんですよ。(三つ目のJVについては)それは知らない。俺もよく知らないんだけどね。あ、今ちょっと取り調べがあるからね。はい、はい、どーも」
結局、22日の入札では、この不動産会社が名を連ねたJVが「逆転」で落札したのだが、語るに落ちた、とはこのことだろう。「答えられない」と言いつつ、なぜ入札前に別のJVの構想をここまで詳しく把握しているのだろうか。
「森さんには何も言えない」
新秩父宮ラグビー場事業の発注元であるJSCは入札前、文書でこう回答した。
「公正な調達手続きを行う観点から回答できません」
また、森氏の代理人にも取材を申し込んだが、
「『新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業』は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが担っており、森喜朗氏は、一切関与していません」
と言うのみだった。
スポーツ文化評論家の玉木正之氏はこう語る。
「今(森氏は)、自身が会長をしていた東京五輪組織委の元理事が逮捕されたという状況に置かれているわけです。そんな状況下にあって、果たして『功績をたたえる』などといって胸像建立の計画を進めている場合なのでしょうかね」
スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏も、
「森さんは主に人事面での影響力を発揮してスポーツ界の支配者となってしまった。要職への抜擢など、厚遇された人たちは当然、森さんには何も言えません」
と、こう指摘する。
「周りにいさめる人がいなければ、当然ご本人は増長する一方になります。それが今回の胸像にもつながっているのではないでしょうか。森さんからすればミュージアムでも胸像でもいくらでも建てられるでしょうし、1体や2体じゃ足りないなんて思っているかもしれません」
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