統一協会「文鮮明」を無理やり入国させた金丸信の大罪 今なら政権が吹っ飛ぶ大スキャンダル
文鮮明の歓迎晩餐会
金丸の圧力で許可が下り、92年3月26日、文鮮明は日本に特別入国を果たした。言ってみれば“超法規的措置”なのだから、大人しく行動するかと思いきや、実際は違った。
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は2001年1月、「『霊感商法』の統一協会教祖/文鮮明が来日工作/ビザ申請『言論人会議』口実に」の記事を掲載した。この記事では来日中の文鮮明がどのような行動を取っていたのか、詳細に伝えている。
先述のように、文鮮明が来日したのは自民党の議員グループが招いたからだ。赤旗によると、入国理由も「議員の会との懇談」だったという。ところが、日本滞在中の文鮮明は、こうした“約束”を反故にしてしまう。
《入国後は各地の統一協会信者集会に出席し、ハッピーワールドなど霊感商法企業も訪問。「事前に提出した予定表にない行動」(法務省担当者)を許し、「政府みずから統一協会や霊感商法にテコ入れをした」との強い批判を浴びました》
とはいえ、自民党の国会議員と精力的に会合を持ったのも事実だ。3月29日には、元首相の中曽根康弘(1918~2019)と会談。30日には「北東アジアの平和を考える国会議員の会」主催の歓迎晩餐会が開かれ、文鮮明は議員を前に講演を行った。
圧力を認めた金丸
まるで国賓のようなスケジュールだが、最終日の31日、文鮮明は金丸と会った。朝日新聞は4月1日、「金丸氏と統一教会の文教主が会談」の記事を朝刊に掲載した。
《自民党の金丸信副総裁は31日、来日中の世界基督教統一神霊協会(統一教会)の文鮮明教主と都内で約2時間会談。双方の希望で実現》
4月1日午前、文鮮明は大韓航空で日本を発ち、韓国に向かった。だが、話はまだ終わらない。
朝日新聞は4月18日、金丸の独占インタビューを朝刊に掲載した。この記事で金丸は、法務省に圧力をかけたことを認めたのだ。「金丸自民党副総裁インタビュー<要旨>」から該当部分を見てみよう。
《さきに来日した世界基督教統一神霊協会の文鮮明教主とはどんな話を》との質問に、金丸は以下のように答えた。
《教主は北朝鮮を訪れ、金日成主席と会っている。日本に入国できないというので、私が便宜を図ってもらえるように法務省にかけあった。反共主義で知られる文氏がなぜ、南北朝鮮の橋渡しに動くようになったか、北朝鮮とのかかわりなどについて話を聞いた》
余裕綽々で《法務省にかけあった》と答えるあたり、まさに“政界のドン”という印象だ。しかしながら、金丸の政治生命は、この時が頂点だっただろう。その後は転落の一途をたどっていく。
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