今の巨人は勝てる気がしない 今後のシナリオも書き直し【柴田勲のセブンアイズ】

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どん底状態

 もはやため息しか出ない。巨人がDeNA、阪神との6連戦で今季ワーストの6連敗を喫した。完済目前だった借金はワーストタイの7に膨らんで、おまけにリーグ最速での60敗到達となった。Bクラスの5位だ。

 前回の今コラムで、「なんとか2位を確保してもらいたい。2位となってCS(クライマックスシリーズ)で3位のチームを蹴落として優勝チームと戦う。最低でもこのようなシナリオが必要だ」、こう記した。

 残念ながらシナリオは書き直しだ。是が非でも3位を「死守」してCSに出場する。そして下克上を達成する。これしかない。 

 2位争いをするはずのDeNAに3連敗、開幕当初は最下位確定かとまで言われた阪神にいまでは3ゲーム差を付けられた。

 後ろを振り返れば最下位の中日とは1.5ゲーム差だ。残り29試合を考えれば、もう2位は無理だろう。 

 昨年は残り30試合となって大失速して優勝争いから脱落したが、今季もどん底状態がやって来た。とにかく、いまの巨人は試合を見ていて勝てる気がしない。 

 14日の広島戦(東京ドーム)から7試合連続で3得点以下だ。チーム防御率3.97は12球団ワースト、リリーフ陣は4点台で5点取らなきゃ勝てない。見ていて腹が立つ。 

巨人と対照的なDeNA

 DeNAの勢いが止まらない。本拠地・横浜スタジアムで17連勝し、首位のヤクルトに4ゲーム差まで迫った。一時は最大17.5ゲーム差があった。史上最大の逆転Vを見据えて勢いは増すと思う。 

 DeNAの最近20~30試合を見ていると投手陣が相手の打者に向かって果敢に攻めている。ストライクを先行させて早めに勝負を挑んでいる。 

 投手陣のこうした姿勢は打撃陣を鼓舞することになる。歯車がかみ合う。チームの内情を知らないが、おそらくいい雰囲気で試合に臨んでいるのだろう。 

 ヤクルトは4番・村上宗隆が大活躍してチームを引っ張っているが、DeNAは「全員野球」で戦っているように見える。 

 巨人の投手陣はDeNAとは対照的に「逃げて」いる。試合を左右するのは投手陣の出来次第だ。6割から7割の割合で勝負のカギを握る。 

 いまの巨人先発陣の中で5回までなんとかまとめてくれる投手が少ない。若手を積極的に起用しているがどの投手が出てきても頼りない。 

 しかも投手陣全体のコントロールが悪い。四球「342」、死球「56」はともにリーグワースト(死球は12球団ワースト)だ。今季は投手が四球から崩れるシーンを何度見たことか。 

 本来、お手本となるのはエース・菅野智之だが本調子にはほど遠い。16日にコロナウイルス感染から約1カ月ぶりに復帰登板したものの6回を6安打3失点で6敗目と結果を出せなかった。 

 何度も指摘しているが変化球でかわす投球スタイルで以前のような怖さがない。球威があれば高めの球でもファウルかフライにできるし、低めはゴロで打ち取れるのだが、いまはベルト周辺に集まっている。ここは打ちやすいのだ。 

 これまた何度も言う。投球の基本は外角低めにある。生命線だ。ここにビシッと決めることができるようになれば結果もまた違ってくるのではないか。若手投手陣にも好影響を及ぼすと思う。基本に戻ってほしい。 

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