青春18きっぷで巡る「ご当地グルメ」「鉄道遺産」の旅 オススメプラン5選

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大鉄橋が「空の駅」

 津山からは因美線で鳥取駅へ。鳥取市は県庁所在地でありながら、温泉が湧く珍しい街。ここで1泊したら、翌日は鳥取駅で名物「かに寿し」を買って山陰本線で京都方面へ。途中、餘部駅では、「東洋一の大鉄橋」とうたわれた「餘部鉄橋」の一部が見学できる。「一部」というのは、惜しくも12年前にコンクリート橋にかけ替えられ大半が撤去されたからだ。今は現役時代なら歩くことが許されなかった大鉄橋が「空の駅」として再出発! 展望台に変貌して日本海を一望できる。帰りは城崎温泉駅で途中下車。但馬牛メンチカツを頬張りながら、外湯巡りをしてみてはどうだろう。

【福岡発1泊2日】「レトロ駅舎」と名湯への癒やし旅

 日本初の鉄道開業から遅れること17年の1889(明治22)年、九州初の鉄道が博多駅で産声を上げた。それから2年後、現在の鹿児島本線は関門海峡の玄関口・門司港駅まで達した。バナナの叩き売り発祥の地といわれ、大陸との交易で栄えた門司港の象徴であるレトロな駅舎は、国指定の重要文化財。駅舎として重文指定を受けているのは東京駅とここの二つだけだ。

 その駅に隣接する赤レンガの建物は、旧九州鉄道の本社。現在は「九州鉄道記念館」として一般公開されていて、館内には九州で活躍した実物の機関車や特急車両などが多数展示されている。畳敷きの座席に座れば気分は明治の旅人だ。

全国でも希少な「3段スイッチバック」

 門司港駅からは小倉駅経由で日豊本線を一路、南に向かおう。途中、中津駅で降り、唐揚げブームの先駆け「中津からあげ」を食した後は、福澤諭吉旧居などを巡る。さらに宇佐駅で下車して全国の八幡宮の総本社「宇佐八幡宮」に参拝。今宵の宿、別府に到着する。

 名湯にたっぷり漬かった翌朝は別府駅から大分駅へ。ここで豊肥本線(阿蘇高原線)に乗り換える。九州唯一の高原鉄道は阿蘇の外輪山を沿うように熊本へとひた走る。途中、阿蘇駅で下車して阿蘇山に登り、草千里で馬に揺られ、火口を見物するのも楽しい。

 この路線の見どころは、何といっても全国でも希少な「3段スイッチバック」だ。阿蘇山のカルデラと外輪山の境目、赤水駅と立野駅の間の標高差188メートルを乗り越えるため、坂をいったん下って止まり、方向を変えて進む。行きつ戻りつを繰り返す列車で、先人の叡智を体感しよう。

 熊本駅から再び鹿児島本線に戻り、博多駅まで新幹線なら約40分のところ、我らが「青春18きっぷ」利用なら普通と快速を乗り継いで2時間あまり……。ここは「くまモン」の笑顔をあしらった駅弁容器に癒やされる「くまもとあか牛ランチBOX」でも食べながら、ゆっくり参りましょう。次の旅はどこへ行こうか、どの駅で降りようか――。それを考えながら、流れる車窓に身を委ねるのも汽車旅の醍醐味だろう。

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