青春18きっぷで巡る「ご当地グルメ」「鉄道遺産」の旅 オススメプラン5選
幻の鉄路となる日
【札幌発1泊2日】廃線迫る「北のローカル線」への旅
北海道に鉄道が敷設されたのは意外に早く1880(明治13)年。新橋―横浜間、大阪―神戸間に次ぐ3番目で、小樽(手宮)と札幌を結んだ幌内鉄道が道内の鉄道の始まり。豊富な石炭と木材を内地に届け、日本の近代化に大きく貢献した。
航空機を降りたら、ターミナル直結の新千歳空港駅から札幌駅を経由して、函館本線の岩見沢駅で下車しよう。前述した幌内鉄道は旧国鉄の幌内線となったが、惜しくも1987(昭和62)年に廃線。幌内駅の跡地は、岩見沢駅からバスでアクセス可能な「三笠鉄道村」として生まれ変わった。村内では蒸気機関車が引く列車に乗れたり、国鉄時代の食堂車でランチを食すこともできる。
岩見沢駅に戻り滝川駅からは根室本線に乗り換えて、富良野界隈で1泊したら再び根室本線を南へ。富良野駅から1駅先の布部駅は、名作ドラマ「北の国から」に登場した木造駅舎がそのままの姿で使われている。
東鹿越駅から新得駅までは代行バスに乗り換える。数年前の台風で土砂が崩れ、復旧に莫大な費用がかかるためJR北海道が来年以降の廃線を決定。幻の鉄路となる日は近い。
普通列車が運行されていない区間
途中の幾寅駅は高倉健主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」(降旗康男監督)の舞台、「幌舞駅」として知られる。撮影当時のままに駅舎や商店のロケセットが残され、健さんファンならずとも昭和の町並みを楽しめる。代行バスの終点・新得駅では、道内では数少ない駅そばが長旅で減った小腹を満たしてくれる。鶏肉を使った「かしわそば」は甘いだしが特徴。新得町はそば粉の産地で、町内の「そばロード」には何軒もの店が並ぶ。
新得駅からは特急列車で一気に札幌方面まで移動する。原生林が広がる新得―新夕張間は、実は特急しか走らず、日本でも数少ない普通列車が運行されていない区間のひとつ。「青春18きっぷ」の特例で特急列車に乗車できるのだ。新得を出ると列車は登り坂をあえぎながら「石狩国」と「十勝国」の境にあたる「狩勝峠」を越える。右に左にカーブを繰り返し、その雄大さから「日本三大車窓」の一つに数えられている。
日本の近代化を支えてきた機関車
【大阪発1泊2日】「東洋一の鉄道遺産」を巡る旅
西日本の「鉄道遺産」の代表格といえば「京都鉄道博物館」。京都駅隣の旧国鉄梅小路機関区に20両もの蒸気機関車が保存され、鉄道黄金期をしのぶことができるが、今回は鉄道ファン以外にはあまり知られていない全国でも珍しい鉄道ミュージアムに出かけてみたい。
大阪駅から姫路城を仰ぎ見て、姫路駅で中国山地を貫く姫新線に乗り換えて津山駅へ向かう。駅に隣接する「津山まなびの鉄道館」には、国鉄時代の貴重なディーゼル車両が多数保存されている。SLに比べて地味に思われるが、日本の近代化を支えてきた力持ちの一群なのだ。圧巻なのは「ターンテーブル」と呼ばれる機関車の向きを変える転車台と扇形に広がった車庫である。現役当時のまま稼働する形で保存されているのは貴重だ。
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