なぜ日本のスーパーのレジ店員は「座れないのか」 韓国では10年以上前から椅子を設置
立って作業することが前提
ネット上で、度々話題になる「レジ店員が椅子に座ること」の是非。
全国58社、3961店舗 が加入するオール日本スーパーマーケット協会の担当者も、
「協会の会員でレジに椅子を導入しているところはありません。これまで導入しようという動きがあったということも聞いたことはありません」と話す。
どうして椅子が導入されないのだろうか。
「既存のレジは、立って作業することを前提に設計されています。台の高さやバーコードをスキャンする読み取り装置の位置は、立って作業する分にはちょうどいいですが、椅子に座るとやりづらくなるのではないでしょうか。また、立っているからこそ、商品が入った重いカゴを楽に動かしたり、狭いスペースでも小回りが利くからなのだと思います」(同)
確かに椅子が導入されている海外の多くのスーパーでは、日本のように店員がカゴを動かす必要は無いことが多い。客が1つ1つの商品を台にのせ、それが店員の前へ流れていくというベルトコンベア式のレジだ。立ちっぱなしレジの文化は、日本の“おもてなし”精神が生んだものと言えるのだろうか。
先の全国スーパーマーケット協会のTwitterでも、当時、導入が進まない背景をこう推測していた。
〈座りレジ作業とセットになるベルトコンベアレジも、某フランス系スーパーなど何度か導入されましたが、続きませんでした。面倒だし、生鮮品を置くことに抵抗がある方も。時代が変わり、従業員の働き方に対するお客様の理解も昔より得やすいので、導入の検討も進むかと考えます。〉
負担増になる?
とはいえ、「店員さんを座らせてあげて」という意見は少なくない。ベルトコンベア式ではなく、カゴからカゴに商品を移動させながらスキャンするという従来日本で多い形式でも、椅子に座りながら作業することは不可能ではないだろう。
「座って作業することを前提とした設計のレジが新たに出来たとしても、導入するにはコストが掛かるのでなかなか実現は難しいのではないでしょうか」(先のオール日本スーパーマーケット協会の担当者)
仮に椅子が導入出来たとしても、店員の負担を増やす面もあるという。
「既に今のレジに慣れている店員は、新しいレジ機器の操作を覚えるのは大変だと思います。座っての作業に慣れるまでは、会計の時間が長くなる可能性もあり、それでレジが混雑すると、お客さんに迷惑を掛けることにもなります」(同)
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