腕を失った復員兵、夜のバーを渡り歩く花売りの少女… 70年前、復興に沸く銀座の貴重写真
物乞いの老人、バーを渡り歩く花売りの少女
光が強まれば当然その分、影も濃くなる。急激な経済発展の裏には、それに取り残される人々が必ずいる。
復員兵たちがアコーディオンを弾き援助を呼びかけるのは、デパートのウインドー前だろうか。中には腕を失った者も。かつて、このような光景は繁華街のあちこちで見られたという。
「空襲で脚を失くしただろう物乞いの老人が道端で倒れ、花売りの少女は“おじちゃん、お花買って”と夜のバーをウロウロと渡り歩く……。平和できらびやかな、いまの銀座ではとても考えられない風景が見られる、そんな時代でした」(高岩氏)
一方、年月は経とうとも、変わらぬものもあるようだ。銀座4丁目の交差点で撮られた夜景には、三愛ドリームセンターが建てられる前の三愛ビルがたたずむ。銀座のネオンに引かれた多くの人々が、夜を楽しんでいるようだ。また、“腹が減っては仕事ができぬ”とばかりにまかない飯を路地裏でかき込む店員の姿からは、慌ただしさが感じられる。
今年2月に始まったウクライナ侵攻は、膠着状態となって久しい。70年前の銀座の姿は、戦争が生み出す光と影を浮き彫りにしている。