政界からも酷評された「ちむどんどん」 視聴者の心を掴めないすごく簡単な原因とは

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残酷な披露宴

 前出のプロデューサーが続ける。

「さすがにスタッフも頭を抱えているでしょう。前作『カムカムエヴリバディ』はかなり評判が良かったですし、視聴率にそれほど恵まれなかった『おちょやん』(20年後期)や『おかえりモネ』(21年前期)だって、ここまでひどくはありませんでした」

 具体的にはどこがマズかったのか。

「最近で言えば、やはり暢子と和彦(宮沢氷魚)の披露宴でしょう。沖縄にいた頃からずっと思いを寄せていた智(前田公輝)を振って、暢子は和彦との結婚を決めるのですが、沖縄から東京まで妹の歌子を送り届けた智は、無理やり会場に担ぎ込まれた挙げ句、スピーチまでさせられました」

 ネット上には“残酷”との声が上がり、“朝ドラ史上最も感動しない結婚式”“地獄絵図”と報じたネットニュースもあったほどだ。

「その披露宴で、暢子は突然、『沖縄料理店をやりたい』と言い出しました。披露宴の会場は、上京以来、働いてきたイタリアンレストランです。出席者には、彼女が下宿している沖縄料理店の店主もいる。あまりに無神経な披露宴でした」

 暢子は早速、沖縄料理店の開業のため物件探しを始める。ようやく決まりかけたところに登場するのが、ニーニーである。

「これまでも、まともに働かず一攫千金ばかり夢に見てきたニーニーですが、今度はネズミ講の手先となって登場しました」

視聴者の神経を逆なで

 それをやめさせようとニーニーの会社に飛び込んだ暢子たちは、契約解除料として開店準備資金の200万円をあっさり手渡してしまう。

「夫で新聞記者の和彦は、直前にニーニーの会社に手入れがあるという情報を聞いていました。にもかかわらず、その場にいて何もしなかった」

 8月18日の放送では、ニーニーが父(大森南朋)との思い出を振り返った。やんばるの共同売店のレジからお金を盗んだというニーニーに対し、父はこう言う。

父:お前は悪くない。悪いことはしたけど、お前は悪い人間じゃない。お前が悪いとしたら、それは父ちゃんのせいさ……。

「子育てに失敗したとしか言いようがありません。これまで母の仲間が甘やかしていると思っていましたが、父の大森も相当なものでした」

 父の言葉を思い出したニーニーが宣言する。

ニーニー:俺は今度こそ心を入れ替えて地道に働く。何年かかっても、暢子の200万、必ず倍にして返すから!

「性懲りもなく、また倍にして返すです。しかも暢子たちが失った200万円は、姉夫婦が海外旅行のために貯めていた200万円をあげる、ということであっさり解決してしまいました。これまでもそうでしたが、あまりにご都合主義が過ぎます」

 そして19日の放送では、ネズミ講の会社に新聞記者がいたことを週刊誌にすっぱ抜かれ、和彦は退職するハメに。さらに暢子はつわりの兆し……今度は妊娠か? 何だかかつてのジェットコースタードラマのような慌ただしい展開だ。

「スタッフに『こうすりゃ視聴者は面白がって観てくれるに違いない』という思い上がりがあるとしか思えません。それが善良な視聴者の神経を逆なでしているのです。朝ドラはヒロインが夢に向かってまっすぐに突っ走るドラマですが、そこには人の心に寄り添える優しさと共感、そして視聴者が応援したくなる弱さを見せる場面がなければなりません。『ちむどんどん』にはそれが感じられないのです」

デイリー新潮編集部

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