水谷豊が明かす“寺脇降板”秘話 「いつまでも居ちゃだめだ」とアドバイスした理由とは
俳優・水谷豊。数々の人気ドラマに出演してきた彼のことを、私たちは画面を通してよく知っている。だが、知らない。水谷が何を考え、どのような思いで演じ、この先どこへ向かうつもりなのかを。初めて自らの人生を振り返る集中連載。第1回は「相棒」の真実。作家の松田美智子氏を相手に詳しく明かした、寺脇降板の真相、これまでの相棒たちへの思いとは――。(取材・文:松田美智子)
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【写真】14年ぶりの復帰となった、亀山薫(寺脇康文)との2ショット 歴代の相棒たちも
「『相棒』もいつかは終わりを迎えるでしょうが、どこまで続くのかは見えていないし、予想はつかない。でも、彼が最後の相棒になるのは間違いありません」
今後について尋ねると、水谷豊はそう話した。7月14日に70歳を迎えた彼は、自らの俳優人生、そして来し方を、いま初めて振り返ろうとしている――。
常に2桁の世帯視聴率をキープし、テレビ朝日系列の看板番組となった「相棒」。同シリーズは、今秋で21年目を迎える。
水谷は、今年3月に放送を終えたシーズン20まで、400回近く主役の杉下右京を演じてきた。
「視聴率は大事ですが、毎回、狙って作っているわけではないんです。時には気が滅入るような暗い話もあるし、むしろひんしゅくを買うことを恐れない。それが『相棒』のいいところですね」
「相棒」について語るとき、水谷は、なんどもひんしゅくという言葉を口にした。
社会からはみ出してしまう“人間らしさ”
人が本能的に生きようとすると、社会からはみ出すことが多々あり、ひんしゅくを買ってしまう。だが、そこには人間らしさがあり、その世界を描くことも大切ではないか、と彼は考えている。
「一方で、エンターテインメントに徹した話もあります。病気とか何か問題を抱えている人に、番組を見てくれている間だけは辛さを忘れてほしい、楽しんでもらえるといいなと思う。ひんしゅくとエンターテインメント、『相棒』でその両方ができたらいいと。ただ正解がない世界ですからね、今でも試行錯誤を続けています」
シリーズ開始から20年の間に右京の相棒は4人替わっている。
初代の相棒・亀山薫役を寺脇康文(60)が、2代目の神戸尊(かんべたける)役を及川光博(52)、3代目の甲斐享役を成宮寛貴(39)、4代目の冠城亘(かぶらぎわたる)役を反町隆史(48)が演じ、今年3月をもって降板した。反町の“卒業”を知ったファンの間で話題になったのは、次の相棒役に誰が選ばれるか、ということである。
6月23日の公式発表まで、さまざまな俳優の名前が挙がり、女性になるのでは、という臆測まで流れた。結果は、初代の相棒、寺脇康文の復帰だった。水谷がそこに至る経緯を語る。
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