「尖閣諸島に武装漁民上陸!」シミュレーション実施 その時、総理はどう動くか

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不気味に忍び寄る“次の戦争”の影

 8月15日、日本武道館で執り行われた「全国戦没者追悼式」に岸田文雄総理が出席した。終戦から77年が経ち、当時の悲惨な戦禍の記憶が徐々に遠のいていく一方で、不気味に近づいてくるのが“次の戦争”の影である。

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 ついに総理大臣が防衛出動を下令した――。

 記者席がざわめく。日本が攻撃され、自衛隊が外国軍と戦う。戦後初の危機!

 実はこれ、シンクタンク「日本戦略研究フォーラム」が8月6、7日に開催した「台湾有事シミュレーション」でのワンシーンである。

 有事の際には官邸で「9大臣会合」が開かれることになっている。シミュレーションはこの会合を模した会場で行われた。

 防衛出動という歴史的な決断を下した「総理」役には、岸田さんではなく小野寺五典元防衛相(62)が。防衛大臣としてのキャリアが長く、評価も高かっただけになかなか様になっている。隣に座る女房役の官房長官は、松野博一氏(59)の代わりに木原稔代議士(53)が務めた。

尖閣諸島に武装した中国漁民が上陸し、同時に台湾へのミサイル攻撃が

 しかし、シミュレーションといえど、気楽に構えられない現実味があるのが恐ろしいところだ。

 このシミュレーションが実施されたのは、奇しくも米国のペロシ下院議長の訪台に猛反発した中国が、大規模な軍事演習を行っていた真っ最中だったのである。

 実際に、8月4日には中国軍が台湾近海にミサイルを発射し、うち数発は日本のEEZに落下している。

 そうした中で迎えたシミュレーション1日目では、「尖閣諸島に武装した中国漁民が上陸し、同時に台湾へのミサイル攻撃が行われる」という、あまりにリアルかつタイムリーな設定で行われた。

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