大本命・大阪桐蔭を倒す“番狂わせ”…下関国際が勝利した「決定的理由」
ダークホースでもなかった
「絶対王者から大金星」「番狂わせ」…そんな言葉がネットや新聞紙上で踊っていた。8月18日に行われた夏の甲子園・準々決勝で、3度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭が、格下と見られていた下関国際に5-4で敗れるという大波乱が起きた。【西尾典文/野球ライター】
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全49地区の代表校が決まると、スポーツ紙は各チームの評価を「ABCランク」で格付けしている。大手5紙(日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツ、中日スポーツ)をみると、下関国際の評価は4紙がB、1紙がCとなっている。準々決勝まで勝ち上がった8校の中でも、下関国際の前評判は最も低く“ダークホース”として取り上げられることもほとんどなかった。一方の大阪桐蔭は、5紙とも優勝の大本命だったことは言うまでもない。なぜ、下関国際が、“高校野球界の横綱”というべき大阪桐蔭を倒すことができたのだろうか。
その理由としてまず挙げられるのは、ショートを守る背番号6の仲井慎(3年)が投手として大きく成長したことだ。大阪桐蔭戦で好リリーフを見せた仲井。
3-4と1点を勝ち越された6回裏のツーアウト満塁のピンチでマウンドに上がると、大阪桐蔭の4番、丸山一喜から146キロのストレートで三振を奪い、ピンチを脱出。さらに、5-4で1点を勝ち越した9回裏には、この日最速となる147キロをマークするなど、三者凡退で大阪桐蔭打線を寄せ付けなかった。
エースナンバーを背負う古賀康誠はプロのスカウトから注目を集めているサウスポーだが、山口大会で足首を捻挫した影響があって調子を落としており、2試合の登板にとどまっている。
その穴を埋めたのが仲井だった。山口大会の準々決勝から決勝までの3試合をすべて完投し、甲子園出場の原動力となったのだ。
“怪我の功名”が金星に
甲子園では、古賀がケガから回復し、初戦から準々決勝までの3試合すべてに先発している。ただ、自己最速145キロを誇るストレートは、その大半が130キロ台にとどまるなど、本調子とはいえず、変化球を中心にピッチングを組み立てている。試合中盤まで古賀で何とかしのいで、終盤は仲井で締める。これが下関国際の“勝ちパターン”となっている。
仮に、古賀が山口大会で万全の状態であったならば、仲井の登板機会は少なく、このパターンが確立できたかは疑問である。まさに“怪我の功名”ともいえる仲井の成長が、大阪桐蔭を倒すという「金星」に繋がった。
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