みのもんたが明かす、妻がいない「わびしさ」の解消法 デパートで「女性の下着」をチラ見

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観るテレビは…

 衰えといえば、情けないことにネクタイがうまく結べなくなった。昔、「あのジジイ、ネクタイが曲がってやがる」なんて思ってたのが、今、自分がそうなっちゃった。やだねー。

 そういうのがだんだん面倒臭くなるから、今日何を着ようって考えると、毎日Tシャツとジーンズになっちゃう。楽だからね。服がないわけじゃないんだから、いろんなものを着ればいいんだけど、これはマズいよね。

 身だしなみとともに、高齢者のひとり暮らしは、僕も毎日やっている階段の上り下りには気を付けないとダメです。万が一転んだら、発見されるまでえらい時間がかかっちゃうから。見つかった時は冷たくなってました、ではシャレにならない。上るのはまあ大丈夫なんだけど、特に下りが危ない。手すりを持たないとスコーンって転んじゃうからね。

 同じ理由で気を付けているのは入浴です。湯舟には漬からずシャワーだけにしています。湯舟に漬かってそのまま溺死って、高齢者だったらあり得るからね。ひとり暮らしにとって湯舟は本当に怖い。

 この間、誰かが言ってたけど、恋に溺れる18歳、風呂で溺れる81歳ってね。笑っちゃったけど、まさにその通り。風呂場で倒れたら終わりだから、シャワーも立ってではなく、座ってやっています。

 頭を衰えさせないように、活字を読むのも大事ですよ。朝は新聞を2、3紙、じっくり読む。平気で2、3時間はかかります。「新聞読んでます。10分くらいで」なんてのはダメですね。真剣に読んでない。

 読書も続けていて、この前も全26巻ある山岡荘八の『徳川家康』を読み返したり、その途中で『ゴルゴ13』を読み始めたり。ものを書くのはダメになってきてるけど、読むのまでやめちゃったらおしまいだと、自分で心しています。目でも鼻でも手でも脳でも、使って活性化させないとすぐに衰えますからね。実際、手の運動量が減ったからか、お箸の使い方まで下手になっちゃった。

 テレビはNHK以外あまり観ませんね。どのチャンネルでも、イロモノみたいな若い人たちが、同じようなことを喋っているだけに感じられる。話の中身が一緒で、語彙も豊富じゃない。「ダーウィンが来た!」とか「ブラタモリ」とか、比較的テンポが遅いものしか観ないようになっています。

 あとは、この先のことを考えて焼却炉を買いました。写真とか記念品とか、ごく一部の特別なものだけを残しておいて、それ以外は処分するために。残されても、子どもや孫も置き場所に困っちゃうでしょ。だから、焼却炉で焼いて整理を始めています。

 シュレッダーで処分するのは何だか残酷な感じがするけど、セルフ焼却して煙になって消えていくというのは、何だか雰囲気があって許されるんじゃないかという気がするんです。

 でも、これは「終活」ではなく「生前整理」です。終活って言葉、自分で人生の終わりを決めているようでイヤなんですよ。

 残るは女房の骨壺をどうするかなんだけど……。10年か。もう納骨してもいいのかな。でも何だろうね、この気持ち。やっぱりまだ台所に居てほしい。ここまできたら、僕の骨と一緒にお墓に納めてもらおうかな。よし、決まり!

みのもんた
タレント。1944年生まれ。「プロ野球珍プレー・好プレー大賞」、「午後は〇〇おもいッきりテレビ」「朝ズバッ!」等、アナウンサー、司会者として各局で活躍。2012年に妻を失う。

週刊新潮 2022年8月11・18日号掲載

特別読物「『死別』『離婚』『生涯独身』…著名人が明かす『おひとりさま』哲学」より

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