「リブゴルフ」に移籍した選手は大ピンチ ゴルフ世界ランキングは新指標の導入で重大な変化

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移籍を後悔?

 マスターズを主催するオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブも、全米プロを主催する全米プロゴルフ協会(PGA of America)も、全米オープンを主催する全米ゴルフ協会(USGA)も、全英オープンを主催するロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュース(R&A)も、来年からリブゴルフの選手を受け入れるかどうかを、現段階では公表していない。

 PGAツアーやDPワールドツアー(欧州ツアー)に背を向け、ビッグマネーの誘惑に乗ってリブゴルフへ移った選手たちが、果たして今後、メジャー大会に出場できるのかどうかは、今なおリブゴルフへの移籍を密かに迷っている選手たちにとっても、この上なく大きな問題だ。

 しかし今回、メジャー4大会の各主催団体が意思表明をする前に、世界ランキングの算出方法が変更されたことが、実質的に彼らをメジャーの舞台から締め出すことにつながっていく。

 そういう流れになったことは偶然かと言えば、もちろんそんなことはないだろう。世界ランキングの算出方法や運用方法を決める「頭脳」となっているのは、世界6大ツアーの代表者たち。メジャー4大会の主催者たちも、もちろん彼らと意見交換をしつつ、ものごとを決していく。

 そう考えると、今回の世界ランキングの算出方法変更は、そもそもはツアー間の不平等性を是正する目的で考案されたものではあるが、そのタイミングゆえに、現実としてはリブゴルフ選手たちをメジャー大会の舞台から締め出す役割を担う形で船出した。

「あとは彼らの世界ランキングがどんどん落ちていくのを待つだけ」

 そう思いつつ、頷いているのではないだろうか。そしてリブゴルフ側は、ゴルフ界の巨大勢力の凄みを見せつけられたと感じていることだろう。

 スター選手たちを誘い込む際、リブゴルフのノーマンは「PGAツアーがキミたち選手の戦う権利を奪えるはずはない。キミたちはPGAツアーにもメジャーにも出られるはずだ」なんて甘い言葉を大金を渡しながら囁いたと言われているが、そんな誘い文句に乗って移籍したことを、「ああ、早まった」と後悔し始めている選手がそろそろ出てきそうな予感がする。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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