「引退」内海哲也に、巨人と西武の争奪戦勃発も 「西武でたった2勝」でも“一生安泰”の処世術

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「西武か巨人か、選べる立場」

 内海は西武で今季から投手コーチの肩書も加わった。引退表明時点で、西武ではわずか8試合の登板で2勝とほとんど戦力になっていなかった。にもかかわらず、練習での真摯な姿勢や、同僚投手への惜しみないサポートで球団の評価を高めたからだ。

「西武としても指導者として可能性を秘めた内海を、簡単には手放せない。兼任コーチにして、その布石を打っている。昨季、防御率がリーグ最下位だった投手陣は今季ここまで防御率トップと飛躍的に改善した。球団にはその流れを継続するために内海の力を借りたいという思惑がある」(西武担当記者)

 一方、巨人は投手陣の再建が喫緊の課題だ。内海の未知数の指導力は魅力に違いない。

「内海は巨人でも西武でも選べる立場にいる。西武投手陣を盤石にするか、巨人投手陣を立て直すか。どちらにしても食いっぱぐれることはない。将来監督になれるかどうかは今後の実績次第だが、少なくとも長く投手コーチを務める姿が目に浮かぶ」(前出のNPB監督)

 現役時代に200勝を達成しても引退後、監督はおろかコーチにもなれないケースもある。内海は大台には遠く及ばなかったが、指導者としての「第二の野球人生」でも明るい未来が待っている予感を抱かせる。

「40歳ぐらいの年齢の選手に、俺らは口をきけなかった。田淵(幸一)さんとか怖くて。内海は18歳の選手とも一緒に、同じように話をしている。本当に尊敬する」

 4年間を共にした辻発彦監督のこの言葉に、内海の世渡りの神髄が凝縮されている。

津浦集(つうら・しゅう)
スポーツライター

デイリー新潮編集部

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