夏の甲子園、スカウト陣はどう見た? 高松商・浅野翔吾は“ドラ1確実”も…近江のエース「山田陽翔」は上位指名を疑問視する声

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プロでもクリーンアップが打てる素材

 熱戦が続いている夏の甲子園。大会前、ドラフト候補という側面では、ドラフト1位指名が確実と見られるような超大物は不在と言われていた。果たして、その中で評価を上げた候補選手はいたのだろうか。彼らのプレーとスカウトのコメントから探ってみたい。【西尾典文/野球ライター】

 まず、最も強烈なインパクトを残した選手となると、高松商・浅野翔吾(外野手)になるだろう。香川大会終了時点で清原和博(PL学園)に並ぶ高校通算64本塁打を放ち、スカウト陣の注目を集めていたが、甲子園初戦の佐久長聖戦で2本のホームランを放ち、持ち前の長打力を存分にアピールして見せたのだ。

 特に1本目は強い浜風が吹く中で、逆方向の右中間スタンド最深部へ運んだものであり、高校生の右バッターではなかなか見ることのない打球だった。浅野は、昨年出場した夏の甲子園でも智弁和歌山戦でホームランを放っており、大舞台での強さも見事という他ない。

 それでも1位指名が確実と言われていなかったのは、170センチという上背と、外野手というポジション的な面が影響しているからと見られていた。だが、今大会の活躍で、そんな“マイナス要因”が吹き飛んだようだ。

「高校生のバッターとしては、これ以上言うことがないレベルの選手だと思います。(2本のホームランは)どちらもツーストライクに追い込まれてからでしたけど、それでもあれだけしっかり振れる選手はなかなかいないです。体つきもスイングも1人だけ大人が混ざっているみたいですよね。身長が低いことを気にする人もいるかもしれませんが、ここまで打てれば関係ないという声の方が多いと思います。打つだけじゃなくて足と肩もある。ポジションについても、あれだけ動ければ、(プロに入ってから)内野を守らせることも検討できると思いますし、実際、過去に(内野の)練習しているみたいですからね。プロでも1番やクリーンアップが打てる選手になれる素材です。おそらくドラフト1位で消えるんじゃないですか」(パ・リーグ球団スカウト)

投手では1番の注目株

 香川大会の初戦では、DeNAは球団代表を含めた4人体制、ソフトバンクもまた3人体制で視察に訪れており、注目度の高さがうかがえた。将来の中軸として期待できる野手が欲しい球団は、真っ先に指名することが十分に考えられる。

 浅野以外では、大阪桐蔭の捕手・松尾汐恩と近江のエース・山田陽翔を評価する声がスカウト陣に多かった。松尾は1回戦で3安打、2回戦では2打席連続ホームランを含む4安打5打点と、大舞台で暴れまくっている。

 また、スローイングは、筆者が現地測定したセカンドへの送球タイムで、出場した全捕手でトップの数字をマークしている。「あれだけ打てる捕手はなかなかいない。1位で消えると思いますね」(セ・リーグ球団スカウト)という声も聞かれ、高校生捕手の目玉候補となる可能性は高い。

 一方の山田は、1回戦、2回戦でいずれも二桁三振を奪う好投を見せた。昨年秋に肘を痛めて登板がなかったうえ、選抜と春の近畿大会では怪我に泣いたが、そんな不安を全く感じさせないピッチングだった。

「ピッチャーでは、やはり山田が一番の注目株ですね。選抜までは少し力任せに投げている印象でしたが、この夏は状態も良いのか、楽に投げられているように見えます。あれだけ速い変化球が多彩で、コントロールが安定していれば、(相手打者は)なかなか打てないですよね。しっかり体も鍛えているようでスタミナもありますし、精神的な強さも感じます。プロ向きの選手だと思います」(近畿地区担当スカウト)

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