仙台育英が「夏の甲子園」で成し遂げた“史上初の快挙”とは 驚くべき投手陣の実力

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最速140キロ超えの投手が12人

 夏の甲子園で東北勢初優勝を狙う仙台育英(宮城)は8月11日、鳥取商に対して投打で圧倒し、見事に初戦を突破した。仙台育英は5投手が無失点リレーで、鳥取商打線をわずか2安打に抑え込んだ。今から遡ること、4カ月前。筆者にはチームを指揮する須江航監督から驚くべき内容のメールが届いていたのだ。【西尾典文/野球ライター】

 このメールには、今年の選抜高校野球で圧倒的な優勝を飾った大阪桐蔭を倒すため多くの投手を準備していること、ぜひ筆者に仙台育英の試合を見に来てもらいたいという内容が書かれていた。驚かされたのは、メールに添付されていた一覧表だった。

 この表には、投手20人の入学時のストレートの最速と、4月上旬時点のそれがまとめられており、同時点で最速140キロを超える投手が実に12人もいたのだ。東北きっての強豪校である、仙台育英には才能が豊かな選手が多く入学してくることは確かだとはいえ、入学時で140キロを超えるような投手はそうそういるわけではない。その多くが、入学後に大幅なスピードアップに成功し、入学時に比べて、スピードが約20キロも速くなっている投手が大半を占めていた。

 これだけの投手陣を揃えていたと聞けば、当然、見に行かないわけにはいかない。早速、春の宮城県大会の日程を調べて調整し、5月18日に行われた日本ウェルネス宮城との準々決勝に足を運んだが、この試合でも登板した5人の投手全員が140キロを超えていた。

“甲子園史上初”

 ここで話は冒頭の甲子園での鳥取商戦に戻る。この試合でも先発した高橋煌稀(2年)の144キロを皮切りに、古川翼(3年)が142キロ、仁田陽翔(2年)が147キロ、斎藤蓉(3年)が143キロ、湯田純真(2年)が146キロと5人が140キロ以上をマークしていた。ちなみに、斎藤と湯田は春の県大会の日本ウェルネス戦では登板していない。

 こういうことを書くと必ずピッチャーはストレートのスピードだけではないという話が出てくるが、5人とも決してただ速いボールを投げようというフォームではなく、投手としての総合力も高いのだ。

 そのことは、甲子園の大舞台で相手打線をわずか2安打で零封していることからもよく分かるだろう。同じチームから5人もの投手が140キロ以上のスピードを記録したことは、間違いなく“甲子園史上初”のことである。

 素晴らしかったのは、投手陣だけではない。現在のチームは背番号一桁のレギュラー選手9人のうち5人が2年生ということもあって春の県大会では序盤にミスも多く出て苦しむ展開だったが、鳥取商戦では、攻撃も守備も明らかにレベルアップしていたのだ。

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