統一教会だけではない「宗教2世」問題 エホバの証人、幸福の科学、創価学会の場合は

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社会の側の課題も

 2世たちは、信仰ゆえに幼少期にいじめにあう経験もしている。もっとも、彼らをいじめるのは子供ばかりではない。

 前述の幸福の科学学園のケースでは、履歴書に「幸福の科学学園卒」と記される。卒業後に一般の大学に入り信仰を捨てた2世ですら、バイトの面接や就職活動で企業側の担当者からからかわれた経験を語るケースがある。大学の教員から他の学生たちの前で、ネタとして暴露されたという2世(その時点ですでに脱会済みだった)もいる。

 信仰を捨てた2世のみならず現役の信者に対しても、信仰を理由としたいじめは差別以外の何物でもない。

 学歴の問題や精神的ダメージ等、直接の原因は2世ごとに多様だが、生活の糧を得ることにも苦労するケースも珍しくない。さしあたって重要なのが、生活保護制度の拡充や、親に住民票を閲覧させないようにする制度(DV被害者等を想定した支援制度)などだ。

 私自身もある2世の手続きに付き添ったことがある。その時は窓口の担当者が非常に丁寧に応じてくれた。しかし人づてに聞く話では、別の自治体で「親と話し合ってみて」などと言われ断られたケースもある。信仰を強要する親から逃れて人生を立て直そうとしている2世に対して、こんな残酷な「無茶振り」はない。こうした対応も、2世たちの孤立感を深めてしまう。

 宗教2世問題を、一種の虐待として理解できない役所の問題もあるが、そもそも全国共通の明確なガイドライン等もない。

 宗教2世たちに苦痛を与え人生を狂わせているのは、直接には親や宗教だ。しかし社会の側にも、いくつもの課題があることを知っておくべきだろう。

藤倉善郎(ふじくら・よしろう)
ジャーナリスト。1974年生まれ。宗教団体以外も含めた「カルト」の問題を取材。2009年にはカルト問題専門のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、カルト被害、カルト2世問題、カルトと政治の関係、ニセ科学やニセ医療、自己啓発セミナーの問題などの取材を続けている。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島SUGOI文庫)。

デイリー新潮編集部

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