統一教会だけではない「宗教2世」問題 エホバの証人、幸福の科学、創価学会の場合は

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子供の学歴まで囲い込む宗教団体

 幸福の科学では、日常生活上の特殊な戒律や、暴力やネグレクトを推奨する教義はない。しかし、教団施設内の学習塾、幸福の科学学園(中学・高校)、大学としての認可を得ていないハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)で、組織的に2世信者を囲い込む。

 学園では、歴史の授業ですら「坂本龍馬の過去世は劉備玄徳」「シュメール文明の王は宇宙人の指導を受けていた」といった類の、教祖の「霊言」に基づく歴史観を教える。教育基本法によって学校による政治教育や政治活動は禁じられているのに、同学園では幸福実現党を支持する授業もある。

 卒業生たちは、多い年には8割もHSUへ“進学”する。中には有名大学の入試に合格したものの、それを蹴ってHSUに行く人もいる。

自ら不合理な選択をさせる

 教団から、2世が親や教団から、こうした進路を強要されたり婉曲な圧力を受けたりするケースも稀にあるが、全体的には幸福の科学学園では多くの2世が自ら望んでこうした進路を選んでいるように見える。親と教団から、そうすることが素晴らしいのだと教育された結果だ。

 だが、一定の年齢になると、自身の境遇に苦悩するようになる2世もいる。HSUは大学ではないから、「卒業」後の就職も一般の新卒者のようにはいかないためだ。

 創価学会の場合、教義や団体の性格からいって、系列の学校の実情は幸福の科学と同一視はできない。教義や団体への批判はあるとしても、過去世や宇宙人を云々する幸福の科学ほど世界観が浮世離れしているわけではない。仮に学校で教義を教えたとしても、創価学会の場合はそこまで突拍子もない教育にはならないだろう。エホバの証人のような、子供の生命や健康に直結する戒律等があるわけでもない。しかしそれでも、2世問題はある。

 熱心に勤行(お題目を唱えること)をすれば功徳があるとされる反面、教えに反すれば「バチ」が当たるという考えも強調される。不安や恐怖が表裏一体の状況も生まれやすい。他宗・他教を邪宗・邪教として否定する教えを刷り込まれた2世の中には、「神社の鳥居をくぐると頭痛がする」ようになり、修学旅行も満足に楽しめなかったという人もいる。幹部の子供が意思に反して創価大学への進学を強要される等の例も聞く。

 2世たちが口にする「信仰の強要」という言葉には、こうした要素も多分に含まれている。法律用語のような意味合いの「強要」だけでは理解できないのだ。

 問題は、子供を不合理な選択に向かわせたり追い詰めたりする宗教団体や親のあり方だ。少なくとも、これほど広範囲に問題を生んでいる現状を「しつけ」「教育」「親の養育権や信教の自由」の名の下に、社会の側が黙認・公認していいはずがない。

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