「太陽にほえろ!」50周年 ジーパン最後の台詞はカットされていた 殉職刑事の知られざる逸話7選

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 伝説的な刑事ドラマ『太陽にほえろ!』の放送開始からこの夏で50周年。PART2も含めると14年7カ月つづいた理由のひとつに名物と言っても過言ではない“殉職劇”があったことだ。刑事たちが殉職という形で卒業していったことで、“マンネリ化”を防ぐことが出来たのである。そこで実に11人に及んだ殉職者のトリビア的エピソードをご紹介しよう。

 まずは“全718話の中で唯一、台本の手直しが入らなかった回がある”。それは最初の殉職者が出た第52話『13日金曜日 マカロニ死す』なのだ。本作は当初、新米刑事マカロニ(萩原健一)の成長物語の予定だった。だが「初めて犯人を射殺した回」など“初めて”を重ねていけばいずれ成長しきってしまう。そのため萩原は「1年で殉職して番組を降りたい」と申し出、製作側が受け入れる形で殉職することになった。メインライターだった小川英は、萩原の「普通の若者として無駄死にしたい」との言葉にインスピレーションを得て台本を書き上げた。それが夜の西新宿で通り魔強盗に刺殺されるという衝撃的な結末を生んだ。その脚本はプロデューサーや監督たちから全く手直しの注文が入らなかった。そんなことは後にも先にもこの回だけだったのである。

 次は死に際のセリフに関して。各自のアドリブに任されることが多く、マカロニを演じた荻原は母親を思ったセリフ「お母ちゃん、暑いなぁ……」を遺して死んでいった。2人目のジーパン(松田優作)の「なんじゃこりゃあ」が有名だが、実は編集でカットになった幻のセリフがあるのだとか。本作の生みの親・岡田晋吉プロデューサーの著作『太陽にほえろ!伝説』(日本テレビ出版)で、松田が口にしたのは“母への思い”だったと明かしている。撮影後、岡田に対して松田が「マカロニと同じこと言っちゃいましたよ」と語ったというエピソードが著作に書かれているのだが、このセリフは編集でカットされおり、聞くことはできない。

82年で3人の刑事が

 殉職劇の中には『太陽~』史上最高視聴率をマークした回がある。テキサス(勝野洋)が拳銃密売団相手に壮絶な最期を遂げた第216話『テキサスは死なず!』は、ニールセン(アメリカのマーケティングリサーチ会社)調べで42.5%を記録した。ジーパン以来2年ぶりの殉職劇という話題性は大きく、その最期を見届けようとした視聴者がかなりいたわけだ。ちなみにビデオリサーチ調べでも37%という高い数字を叩き出しているが、同社調べの最高視聴率は第364話『スニーカー刑事登場!』の40.0%だった。

 1978年は殉職も新刑事の加入もなかった“無風の1年”だった。一方、1年間で3人も亡くなった年がある。82年だ。1月29日放送の第493話『スコッチよ静かに眠れ』、8月20日放送の第519話『岩城刑事、ロッキーにて殉職』、そして10月1日放送の第525話『石塚刑事殉職』。うちスコッチ(沖雅也)は唯一の“病死”、ロッキー(木之元亮)はただ一人“海外ロケ”での殉職だった。加えてこの2人は殉職回で、1度もボス(石原裕次郎)と顔を合わせず、電話で会話しただけだった。余命いくばくもないことを悟っていたスコッチは入院先の病院を抜け出して単身捜査へ。最後は直接対決で犯人を逮捕するも、大量の吐血。搬送先の病院で山さん(露口茂)とゴリさん(竜雷太)に看取られ息を引き取ったのだ。

 ロッキーは休暇を取って長年の夢だったロッキー山脈登頂に旅立っていた。東京で起きた殺人事件の容疑者がカナダに逃亡したという連絡を受け、駆けつけた仲間たちと合流。急遽捜査に加わるも、大追跡の末に凶弾に倒れた。

 3人目のゴリさんは第1話からのオリジナルメンバーで、10年間の長きに渡る功労者だった。殉職回は番組初の90分スペシャルとして放送された。さらに唯一、ボスに臨終を看取られた刑事でもある。暴力団の覚せい剤密造事件に絡んだ事件で撃たれ、搬送中の救急車内で婚約者の麻生晴子(水沢アキ)とともに見守られながらの死だった。

 次は“番組のサブタイトルの中で最も長かったのはラガー(渡辺徹)の殉職回である”。2人のスナイパーに狙われた観光バスを守るため、相撃ちの形で被弾しての殉職だった。だが、その背後の暴力団との繋がりが証明出来ず、仲間たちは失意に暮れる。そんな一係メンバーにボスが呟いた言葉がこの第658話のサブタイトルになっている。『ラガーよ、俺たちはおまえがなぜ死んだか知っている』。新聞のラテ欄で3行、ドラマ冒頭の画面も4行の文字で埋め尽くされた。

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