岸信介と統一教会を仲介したのは謎の「踊る女性教祖」? 警視庁公安部が捜査していた政治家の実名も

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政治家の参加を公安部が「視察」した記録も

 派閥の番頭・根本匠元厚労相のことだ。

 岸田派の事務総長を担い、閥務においては岸田総理の“側近”。根本氏も95年の晩餐会に招待されていたとして、警視庁からその動向を注視されていたというわけだ。

 その真偽について当人に尋ねた。

――晩餐会に出席したのか。

「どうやって確認しているの? 出席していないよ、全く。向こうから案内があったけど、日誌で確認して、僕の日程でそうなっているから」

――案内があったということは統一教会と関係があったのか。

「知らないよ、そんなの。知らないよ。関わりがあるから案内が来るなんておかしいじゃないか。うちは何にもしていないのに」

 実は捜査ファイルには、実際に政治家が関連イベントに参加し、公安部が「視察」した記録も載っている。

 2001年に都内のホテルで開かれた天宙平和統一国日本大会に参加したとして、吉野正芳元復興相や故・三塚博元蔵相らの名前が記されている。他にも故・中曽根康弘元総理が01年、関連団体の集いに祝電を送っていたともある。

 さらに、

「文鮮明が12年に亡くなってから、後継をめぐるゴタゴタがあり、統一教会の幹部が度々来日していたことが分かっています」

 とはある警視庁関係者。

「都内高級ホテルのワンフロアを借り切り、宿泊していたのですが、そこに政治家が来訪する姿が確認されています。何かあった時のために双方の関係を強化するためで、政治家は現金を受け取っているとも聞きました」

文化庁がネックに

 教団に詳しい北海道大学の櫻井義秀教授が指摘する。

「そもそも統一教会は日本を金のなる木として使って、日本の植民地支配を断罪し、贖罪させるという目標を持っています。これが日本の保守政治家と結びつくはずがないのです。政治家からすれば、選挙時のスタッフなど統一教会のマンパワーを使いたい。教団は政治家と近しくなることで、日本での活動をスムーズに進め、活動を拡大したい。そういった利害関係でつながっているに過ぎません」

 こうした工作を繰り返しながら、着々と日本の政治に浸透してきた統一教会。

「09年に印鑑などを霊感商法で売りつけ、特定商取引法違反で摘発された関連会社の事件はあれど、これまで、教会本部に当局が切り込んだことはない。宗教法人を管轄している文化庁がネックになり、検察や裁判所も容易には捜索令状を認めないからです。無論、政治家とのつながりも障壁になりました」(警視庁関係者)

 封印されてきた捜査ファイルが物語る「カルト集団」としての統一教会。それでもまだ、岸田政権と自民党は、彼らと蜜月関係を続けようというのだろうか。

週刊新潮 2022年8月11・18日号掲載

特集「『統一教会』と『政治家』を監視 『警視庁公安部』封印された『捜査ファイル』」より

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