3年ぶりに「夏コミケ」開催 人気サークルに朝から4000人の列 1万札が飛び交うオタクたちの祭典

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 世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット100」が、東京ビッグサイトで開催された。夏季開催は3年ぶり。「夏の風物詩」とメディアで紹介されるこのイベントには、いったいどのような人たちが詰め掛けるのか。会場を訪れると、第7波の最中とは思えぬ熱狂が繰り広げられていた。 

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一サークルに数百メートルの列

 今年は感染対策のため当日券の販売はなく、開催期間も2日間に短縮。だが、3年ぶりの開催を心待ちにしたファンも多く、初日は台風直撃のなか約8万5000人が駆けつけた。

 記者が取材したのは二日目。炎天下のなか、開場30分前の10時過ぎにはすでに駅から会場まで長蛇の列が出来ていた。そして、開場と同時に人気サークルのブースは戦場と化した。

 もっともすごかったのが「TYPE-MOON」という美少女ゲームなどを制作するゲームブランドの代表者らによるサークル「竹箒」。3冊セット3000円の同人誌がバーゲンセールのように売れていく。列を追うと会場を取り囲むように数百メートルも続いている。正確には数えきれないが、4、5000人はいそうだ。2、30代の若者が中心で、みな炎天下のなかマスク姿で汗を流していた。

 嬉しそうに3冊のセットを手にした25歳の男性に声をかけると、始発電車で来たとのこと。

「コロナも心配ですが、欲望には勝てません。3年ぶりに人が戻ってきて嬉しいです」

 そう言って次に狙うサークルへと走っていった。

赤字でも参加する出展者

「海の近くの遊園地」という漫画家・羽海野チカ氏のサークルにも長蛇の列。販売しているのは一冊5000円もするゲームキャラを扱ったイラスト集だが、在庫が入った段ボール箱は次々と空になっていく。

 このように同人誌即売会といっても、1日に何千冊も売り上げるプロのサークルも存在するのである。だが、それはごく一部。会場の中には、客が訪れず静かに座っている出展者も多い。

「刀剣乱舞」の二次創作同人誌を販売していた30代後半の女性もそんな一人。中学校時代の同級生と一緒に5、6年前から参加しているという。

「私たちは完全に趣味。そもそも20冊しか持ち込んでいませんし、関西から来ているので宿泊費や交通費だけですでに赤字です」

 一冊300円で売っていた作品も見せてもらったが、きわどく男女が交わるシーンが描かれていた。半分が漫画で残り半分が小説。小説は同級生が担当している。

「ゲーム内に登場するプレイヤーのキャラクターに、自分自身や自分がなりたい姿を投影させ、刀剣乱舞のキャラたちと絡ませる物語を描いています。自分の描いた妄想を一人でも多くの人に読んでもらえたら嬉しいなって。同好の士たちと触れ合えるこの場にいることが楽しいんです」

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