クラフトコーラはなぜ瓶詰が多い? 知られざる「クラフト事情」をマニアが解説

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「作る」ことと「作って売ること」の違い

 先述の通り、クラフトコーラを作るための原材料としては柑橘類(レモンやライム等)、スパイス(シナモン・カルダモン・クローブ等)、砂糖が必要です。一般の食料品店で購入できますが、これらを鍋に入れ水と一緒に煮詰めてシロップにすると、皆さんが共通認識として持っているあの「コーラの味」になります。このシロップを炭酸水で割ればクラフトコーラの完成です。レシピもネット上に豊富に掲載されていて、「作る」ハードルは低く、SNSにも自作クラフトコーラの画像の投稿が多く見受けられます。

 簡単に作れ、また新規参入メーカーも少なくないために誤解されているかもしれませんが、「売る」のは簡単ではありません。製品としてブラッシュアップすることも勿論必要ですが、一番の問題は「清涼飲料水製造業許可」を取得しなければならない点です。こちらの取得には基準を満たした製造施設・設備を有し、管轄の保健所から営業許可を受けることが必要になります。クラフトコーラを販売されているメーカーは個人レベルから大企業まで様々ありますが、そのほとんどは2~3人程度の小規模で開発・販売をされています。月の製造数がシロップ瓶100本程度というメーカーもザラにあり、それだけのために専用設備の整備や営業許可を取得することは非常に難しいのが実状です。そのため、多くのクラフトコーラメーカーは製造ができる企業に委託しています。

 ちなみにクラフトコーラはジャムに作り方が似ているため、ジャムの製造加工ができる「製菓材料等製造業」でクラフトコーラを作れるだろうと思う方が結構いらっしゃるのですが、クラフトコーラで販売する以上は「清涼飲料水製造業許可」が必要となります。また、飲食店で自家製クラフトコーラを提供する場合、コップに注いで店内で提供する分には「清涼飲料水製造業許可」は必要ありませんが、店内で作った自家製クラフトコーラを瓶等に詰めて密栓し、店内で販売する場合は必要になります。

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