統一教会の反論会見 田中会長は司会者に注意されても「全部言わせてください」 40分間で何を語ったのか
8月10日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は日本外国特派員協会で緊急会見を開いた。安倍晋三元首相の襲撃事件後、教団が会見を開くのは1カ月ぶり2度目。予定されていた午後3時、田中富広会長は約10人のスーツ姿の関係者とともに会見場に現れた。
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【写真】会見場には約10人の教団関係者が陣取り熱心にメモをとっていた
厳しいセキュリティ
会見はクラブ会員優先で、日本メディアで参加できたのはテレビ・新聞のみ。7月上旬に開かれた教団主催の会見同様、週刊誌やネットメディアは参加できなかったがYouTubeで生放送された。
「田中代表と一緒に会見場に入ってきたスーツ姿の男性たちは、向かって左側のリザーブ席に陣取り熱心にメモを取り始めました。教団広報や教団関連メディアの記者だったと思われます。会場には耳にイヤホンをつけた警察のSPらしき男女もいました。普段ならば会員でない記者も出入り出来るのですが、今回は記者証を下げていない記者は呼び止められるなど徹底したセキュリティが敷かれていました」(参加した日本人カメラマン)
冒頭で田中会長は、
「犯人とされる容疑者が、当法人、世界平和統一家庭連合への恨みを動機として行動に出たという報道を受け、私どもも重く受け止めています。社会のみなさまへお騒がせしていることに深くお詫び申し上げます」
と述べ、同席した法務局長と共に起立して頭を下げた。だが、殊勝な態度を見せたのはそれきり。その後は用意してきたメモをもとに、事件後に起きたメディアの一方的な報道が原因で教団が迫害を受けていると訴え続けた。
ルールを無視してスピーチを続行
「全国の教会に脅迫電話がかかってきたり、信徒の子供たちが学校でいじめを受ける被害が出ていると。その原因は事実を正確に伝えないメディアと弁護士にあると訴えました。途中パネルを見せて、98年に78件あった元信徒との間の裁判は現在は5件と、20分の1まで減ったとも強調しました」(同)
また、旧統一教会からの名称変更についても「正体隠しを目的としたものではない」「政治的圧力や介入があったかのような一方的な憶測報道がなされているが、事実ではない」と訴えた。
とうとうと一方的に教団の主張を述べ続けた田中会長であったが、30分を過ぎたあたりから司会者に「そろそろいいですか」と度々遮られた。
日本外国特派員協会では1時間の会見時間のうち、スピーチは前半の30分で残り時間は記者の質疑を受けるルールになっている。司会者は3度、早くスピーチを終えるよう忠告したが、田中会長は「全部言わせてください」と無視して原稿を読み続けた。結局、スピーチに費やされた時間は40分間。会見時間は予定時刻より10分ほど延長された。
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