中国の「極超音速ミサイル」に日本の最先端技術を流用か 注意すべき「スパイ留学生」の実態

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世界の製造覇権国家

 2015年5月、中国政府は軍民融合政策と智能化戦争への準備が組み入れられた産業政策「中国製造2049」を公表した。そこには、中国共産党が主導した中華人民共和国の誕生から100年後に当たる2049年に、中国が米国に取って替わって“世界の製造覇権国家”になることが目標と明記されている。

 そのスケジュールは明確で、2025年までに中国が製造強国入りを果たし、2035年までに製造強国の中堅ポジションに入り、2049年までに製造強国のトップになる、というものだ。対象は以下の10の産業分野である。

・次世代情報通信技術(IT、半導体を含む)

・先端デジタル制御工作機械とロボット

・航空・宇宙設備

・海洋建設機械・ハイテク船舶

・先進軌道交通設備

・省エネ・新エネルギー自動車

・電力設備

・農薬用機械設備

・新材料

・バイオ医薬・高性能医療機器

 中国政府はこれらの目標達成のために、海外企業から技術を窃取している。各企業に中国市場へのアクセスを許可する代わりに、保有技術の開示を要求するのだ。ただ、その実態は強要である。

日本の3社が世界的なマーケットシェアを失う事態に

 7月3日、読売新聞は〈中国政府が、日本を含めた外国オフィス機器メーカーに対し、複合機などの設計や製造の全工程を中国内で行うよう定める新たな規制を導入する方針であることがわかった〉と報じた。

 これが典型的な例だ。複合機は富士フイルムビジネスイノベーション、キヤノン、リコーの3社が知的財産権をクロスライセンスしている。複合機の電子写真技術には、物理、化学、電気、精密機械などの複合技術が使われる。

 これらの技術を開示したら最後、中国は手に入れた技術をもとに独自の製品を生産し、WTOルール違反の疑いがある産業補助金を使ったダンピング輸出を各国に向けて行うだろう。その場合、日本の3社は世界的なマーケットシェアを失って、壊滅的な打撃を受けることになる。しかも、ネットワークにつながっている複合機にバックドア(不正侵入の入り口)を仕掛け、そこから機密情報を盗み出すことも可能になるのだ。

 中国製造2049の第2段階である「中国標準2035」では、中国がIoT、情報技術機器などの国家標準や業界標準の国際標準化を推進することが目標とされている。日本政府はすぐにも電子写真関連技術をコア業種に指定して、日本の技術を保護しなければならない。

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