ヤクザの“社内報”「山口組新報」最新号から垣間見える「6代目の余裕」 親分たちの「コロナ川柳」も

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本来あるべき姿

〈平成27年という年は、創設百年というおめでたい年でありながら、13名の脱落者を出した年でもあります〉

 7年前に起きた山健組など有力2次組織13団体が離脱し、「神戸山口組」を名乗った分裂騒動のことである。〈13名〉とあるが、司組長から盃をもらっている直参と呼ばれる二次組織の数を指しており、実際は約3000人の組員が山口組を離れたと言われる。

〈今日までの間、親分のお気持ちを推察し断腸の思いに苛まれる日々です。我々山口組は一日も早く本来のあるべき姿に戻り、山口組綱領前文のとおり、国家社会の興隆に貢献し、もって斯界の共存共栄を目指していかねばなりません〉

〈何事も他人事にせず、歴史の教訓をかみしめると共に、時代に即したやり方を模索し、個々の能力の最大限を発揮して、自らが出来ることを本気でやり続ければ、自ずと答えは出るはずです。今こそ確実にそして大きな一歩を踏み出し、私も微力ながら明日の山口組の礎となる覚悟です〉

 こうして文章は締めくくられる。一見、当たり障りのない内容のようにも思えるが、組関係者はこう読み解く。

「あえて身内の恥にあたる分裂騒動について触れています。出ていった当初は勢いがあった神戸山口組ですが、その後、『任侠団体山口組』(現・絆會)が出ていき再分裂。さらに昨年9月には中核組織だった『山健組』が6代目に復帰してしまった。分派した2組織は弱体化するばかりで6代目の勝利目前と言われています。竹内組長の挨拶文からはそんな“勝者”として余裕が垣間見えます」

コワモテの親分たちが作った川柳

 中面の「俳句面」からもそんな空気感が伝わってくる。これも創刊号からの恒例ページで、毎号、傘下の組長たちが俳句や川柳を寄稿する。コワモテの親分が作ったとは思えぬ時節をユーモラスに捉えた川柳を紹介しよう。

〈リモートで 会議したいが 俺、無職〉
〈くしゃみして 入れ歯とマスクが よくずれる〉
〈マスク下 美女か醜女か 賭けにする〉

 読めば、同じ社会で共存しているのだと感じ入ってしまう“ヤクザ版社内報”。紙面通りの和の精神を貫き、一般人を巻き込む抗争は止めて欲しいものだ。

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