夏の甲子園、大阪桐蔭と智弁和歌山を切り崩す「ダークホース」は強力打線を誇る“九州の雄”

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準々決勝まで2強は盤石か

 夏の甲子園が8月6日にいよいよ開幕する。3日には組み合せ抽選会が行われ、3回戦までの日程が発表された。大会の注目ポイントや初戦の注目カードなどについて探っていきたい。(※出場校などの情報は4日16時現在)【西尾典文/野球ライター】

 まず、優勝候補についてだが、筆頭と見られる大阪桐蔭(大阪)、大阪桐蔭を春の近畿大会決勝で破り、夏連覇を目指す智弁和歌山(和歌山)は比較的勝ち進みやすいブロックに入ったと言えそうだ。

 大阪桐蔭が初戦で対戦するのは、旭川大高(北北海道)。2018年、2019年に続く出場で、佐久長聖(長野)、奥川恭伸(現・ヤクルト)を擁する星稜(石川)とそれぞれ1点差の接戦を演じているが、地力では大阪桐蔭と大きな差がある感は否めない。

 同じブロックでは、好投手を擁する札幌大谷(南北海道)と社(兵庫)、強力打線が持ち味の県岐阜商(岐阜)などが控えるものの、優勝候補と言えるだけのチーム力はなく、大阪桐蔭を止めることは難しそうだ。

 一方、智弁和歌山は2回戦からの登場で、開幕カードの日大三島(静岡)と国学院栃木(栃木)の勝者と対戦する。国学院栃木は、2年生エースの盛永智也と主砲の平井悠馬、日大三島はエースで4番の松永陽登を中心としたチームだが、投手、野手とも智弁和歌山と比べると、チーム力は一段落ちるというのが正直な印象だ。

 勝ち上がった後に対戦する可能性がある帝京五(愛媛)、九州学院(熊本)もチーム内の新型コロナウィルス集団感染の影響があって、調整が難しいという事情がある。これらを考慮すると、智弁和歌山が準々決勝まで勝ち進む確率は、大阪桐蔭と同様に極めて高いものとなりそうだ。

1回戦の最注目カードは「近江VS鳴門」

“2強”に続くチームは、近江(滋賀)、九州国際大付(福岡)、京都国際(京都)、天理(奈良)、仙台育英(宮城)などが挙げられる。ただ、いずれも勝ち抜くことが厳しいブロックに入った。

 なかでも、1回戦で最大の注目カードは、近江と鳴門(徳島)の対戦だ。近江は、選抜準優勝投手で、プロ注目の山田陽翔が投打の中心に座る一方で、鳴門は選抜で大阪桐蔭を苦しめたエースの富田遼弥がチームを牽引する。ともに夏の地方大会も安定したピッチングを見せており、ロースコアの接戦となることが予想される。鳴門打線は地方大会で好調だっただけに、滋賀県勢初の頂点を狙う近江にとっては、非常に厄介な相手と言えるだろう。

 選抜ベスト8の九州国際大付は、投打のバランスが良く、総合力は大会で屈指といえるが、初戦は難敵の明徳義塾(高知)との対戦となった。戦力は、九州国際大付が上回っているように見えるが、対戦相手を研究して良さを消す戦いは、明徳義塾の馬淵史郎監督が得意している。接戦となると、明徳義塾が勝負強さを発揮することが予想されるため、九州国際大付は序盤にリードを奪いたい。

 京都国際は、明豊(大分)、八戸学院光星(青森)、創志学園(岡山)、愛工大名電(愛知)、星稜(石川)と各地区を代表する強豪と同じブロックに入った。昨年の甲子園を経験している選手も多いとはいえ、エースの森下瑠大が故障からの復調途上で、これらのチームを相手に勝ち進むことは簡単ではない。

 天理(奈良)は、初戦で強打の山梨学院(山梨)と対戦するほか。仙台育英は、昨年秋の関東王者である明秀日立(茨城)と同じブロックに入っている。いずれも、ベスト8までの道のりは平坦なものではなさそうだ。

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