ウクライナは世界に冠たる「腐敗国家」 援助する西側諸国にとっても頭の痛い問題
実は「腐敗国家」のウクライナ
ウクライナ政府は国際通貨基金(IMF)に対しても債務の負担軽減を求めている。
「金欠」がますます深刻化するウクライナ政府は7月に入り、同国の財政赤字を補填するために毎月90億ドルの支援が必要であることを明らかにした。ウクライナ政府はこれまで「毎月の財政赤字は月50億ドルだ」としていた。これですら欧米諸国が直ちに支援できる金額を大きく上回っていたが、今回提示した金額はその2倍に近い。
ウクライナ政府は追加資金の使途について、何百万人もの人々の緊急収容設備の設置や住宅修繕、失業者への最低生活保障などを挙げている。
ロシアの侵攻以来、600万人以上のウクライナ人が欧州などに逃れたが、そのうち300万人以上が既に帰国している(7月11日付ロイター)。避難民の9割は女性や子供であり、「ウクライナでは以前から人身売買を巡る犯罪が問題になっていたが、その状況は急速に悪化している」との懸念が急速に高まっている。
帰国したものの路頭に迷うウクライナ人に「助けの手」を差し伸べるための支援であるため、できる限り早期に実施する必要があるが、援助する側の西側諸国にとって極めて頭が痛い問題が浮上している。
日本ではあまり知られていないが、ウクライナは世界に冠たる「腐敗国家」だからだ。
ドイツの首都ベルリンに事務局を置く国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は1995年から毎年「腐敗認識指数」を発表している。この指数は世界の国々の腐敗に関して最も一般的に用いられる指標だ。今年1月に公表された最新版ではウクライナは世界180カ国中122位となっている(ロシアは136位)。
ソ連崩壊後、ウクライナでもロシアと同様の腐敗が一気に広がった。独立後のウクライナはマフィアによって国有財産が次々と私物化され、支配権力は底なしの汚職で腐敗していった。現在に至るまでウクライナには国家を統治する知恵や経験を持った政治家や官僚がほとんど存在せず、マフィアが国家の富を牛耳ったままの状態が続いている。政党「国民の僕」を立ち上げ、大統領に就任したゼレンスキー氏も有力なオリガルヒ(新興財閥)の傀儡に過ぎないとの指摘がある。
汚職の蔓延が指摘されるウクライナで腐敗根絶を担う国家汚職対策局のトップに同局で捜査員を務めるクリメンコ氏が就任した(7月21日付CNN)。国家汚職対策局のトップはウクライナの慢性的な汚職構造を懸念する支援国にとっては重要な位置づけとされ大きな注目を集めていた。35歳のクリメンコ氏は2016年に入局後、ウクライナ鉄道の横領疑惑や政界の有力者の汚職容疑など国民の関心が高かった重要事件を捜査した経歴を持つ。異例の抜擢からわかるようにたしかに有能な人物だろうが、同氏だけの力でウクライナの「長年の宿痾」を早期に治癒させることは困難だ。
国際社会は、悲惨な暮らしを強いられている一般の人々のために、ウクライナ政府に対して、抜本的な汚職対策を直ちに講じるよう、強い圧力をかけるべきではないだろうか。
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