ウクライナは世界に冠たる「腐敗国家」 援助する西側諸国にとっても頭の痛い問題
ロシアによるウクライナ侵攻から5ヶ月が経過した。戦線は膠着状態に陥り、「消耗戦」の様相が強まっている。犠牲者や戦費ばかりが日ごとに増えていく展開だ。
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「ロシア財政はいつ破綻するか」の議論がなされることが多いが、それ以上にウクライナ財政が深刻な状態に陥っているのは言うまでもない。ロシアが侵攻を開始して以降、戦費がかさむ一方、税収と関税収入が落ち込んでいるからだ。穀物や鉄鋼の輸出が滞り、ウクライナ政府の外貨収入も途絶えている。
深刻な財源不足を補填するため、ウクライナ中央銀行は国債の買い入れ額を加速度的に増やしている。6月は4月と5月の買い入れ額(17億ドル)の2倍以上の36億ドル分の国債買い入れを強いられている。
輸入代金の支払いを担保する目的で保有する外貨準備にも手を付けざるを得なくなっており、ウクライナ中銀は「6月だけで外貨準備高の約9パーセントに当たる23億ドルを取り崩した」ことを明らかにした。激減する外貨準備を温存するため、ウクライナ中銀は通貨フリブナの対米ドルレートを25%切り下げる措置を余儀なくされているが、これにより足元の高インフレの状態にさらに拍車がかかるリスクを生じさせている。
ウクライナ財政の窮状に対処するため「禁じ手」を乱発しているウクライナ中銀に対し、西側諸国は「このままでは重要な公的サービスを長期的に提供する政府の能力が損なわれてしまう」と警戒感を強めている。
ウクライナ中銀が貴重な外貨を国内の資金需要に充当しているため、同国の海外債務の支払い能力が急速に低下していることも気になるところだ。
ウクライナ国営ガス会社ナフトガスは26日、3億3500万ドル分の債務の2年支払い猶予を海外の債権者に求めていたが、承認されず、政府からも支援が得られなかったことから、債務不履行(デフォルト)に陥った。ロシアの侵攻開始後、ウクライナの国営企業初のデフォルト事例となった。
ウクライナ政府はこれまで「海外投資家の信任をつなぎとめることが大切だ」として国営企業も含め債務の返済を延期しようとしなかったが、限界に達してしまったのだ。
ウクライナ政府は20日、各国の債権者に対し国債利払いなどを2年間凍結するよう要請していた。主要債権国などはこの要請を支持したものの、格付け会社フィッチ・レーテイングスは22日「デフォルトと同様のプロセスが開始された」との認識を示し、ウクライナ政府の格付けをこれまでの「CCC」から「C」に引き下げた。
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