夏季ボーナス366万円「ディスコ」は何の会社? 半導体関連商品で世界的なシェア
日経新聞が発表した夏のボーナスで、全産業のトップに立ったのが「ディスコ」(東京・大田区)という会社だ。その額がなんと366万円だという。
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経済部のデスクによると、
「ディスコが製造しているのは半導体製造の過程で使われる研磨・切断装置です。同社はインテルやサムスン、台湾のTSMCといった大手半導体メーカーと取引があり、今年3月期の売上高は約2500億円。営業利益は915億円とぶっち切りの高収益企業です」
当然、ボーナスだけでなく給料も高く、平均年収で945万円(2020年)。それにしても、半導体戦争で一敗地にまみれた日本にあって、どうやって稼いでいるのだろうか。
日立製作所などで半導体開発に従事した経験のあるジャーナリスト・湯之上隆氏が言う。
「ディスコが作っている製品は大きく分けると二つあって、一つはグラインダです。半導体は直径300ミリのシリコンウェーハの上に千個近く作られるのですが、製品にする際は、さらにウェーハを薄く削らなくてはなりません。775ミクロンの厚みがあるウェーハを、だいたい30ミクロンにまで削り、文字通りペラペラにする。この技術で同社のグラインダは世界シェアで約7割を占めています」
さらにこのウェーハは、特殊な刃物で1個ずつチップに切り出されてゆく。そこで使われるのが、同社のもう一つの主力製品でダイシングソーという切断装置だ。同社はこれも7~8割のシェアを握っている。日本の半導体メーカーが凋落した後もディスコは積極的に海外に売り込みを続け、今日のシェアを築いてきた。
実を言えば、半導体そのものがダメになっても、半導体製造装置や製造工程で使われる化学製品などは、今も日本のお家芸だ。2019年、日本政府がフッ化ポリイミドやレジストといった半導体関連の化学製品の輸出規制を強化したことで、韓国がパニックになったことはご存じの通り。
「半導体の製造はウェーハに回路を形成する『前工程』と、それをパッケージに入れて製品に仕上るまでの『後工程』があります。日本企業は前工程で使われる10種類ほどの機械のうち4割ほど、また、後工程では半分近いシェアを握っている。ディスコは後工程を代表する日本企業の一つなのです」(同)
日本一高いボーナスを出す会社は、知られざる「世界一」の会社なのだ。