ジャニーズ主演ドラマはなぜ支持されなくなった? 愛される夏ドラマの共通点は「苦労人」
夏ドラマの初回視聴率が出そろった。1位はフジ月9「競争の番人」、2位がテレビ朝日「刑事7人」、3位がTBS「オールドルーキー」である。一方、TVerでの再生回数となると少し変わる。1位がTBS「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」、2位がテレビ朝日「六本木クラス」、3位がTBS「ユニコーンに乗って」となる。共通点としてはいずれも、恋愛メインのドラマではないこと、そして「刑事7人」を除きジャニーズ主演ドラマではないことだ。
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女性主人公に目を転じると、今期は「苦労人」ヒロインが多いことにも気付く。「競争の番人」の白熊楓は、ミスによって畑違いの職場に異動させられる元刑事。「石子と羽男」の石子こと石田硝子は、東大首席卒業ながら司法試験に落ちまくっているパラリーガル。「ユニコーンに乗って」の成川佐奈は、貧しい家庭ゆえに大学もモグリで通っていたたたき上げのCEO。いずれもエリートで強い女性だと思われながらも、過去にコンプレックスを抱いている役どころといえる。Wヒロインである「六本木クラス」も、主人公の幼なじみは養護施設で育ち敵の会社で出世、ソシオパスの天才インフルエンサーは母親の期待に背き進学せず飲食店マネージャーの道を選ぶ。とにかく働く苦労人ヒロインだらけなのである。
それはともすると、ジャニーズ主演ドラマが意外とふるわないことと背中合わせなのかもしれない。中島裕翔さん主演の「純愛ディソナンス」、佐藤勝利さん主演の「赤いナースコール」、永瀬廉さん主演の「新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~」。どれも放送前は鳴り物入りだったが、視聴率も見逃し配信も今一つ伸びが悪い。ラブストーリー、ラブサスペンス、マンガ原作学園モノとジャンルは違えど、恵まれた環境のイケメンが繰り広げるドタバタ劇に、もう感情移入しにくいのではないか。役柄上、顔面含めて彼らのスペックは高く、苦労を強いられるような要素は少ない。本人というより置かれた環境の特殊さで物語が進み、ヒロインとも距離を縮めていく。恋愛はぜいたく品という価値観や、持たざる者の不安や絶望がクローズアップされる時代だ。展開がスムーズな美男美女の恋物語は、今やご都合主義のおとぎ話に見えてしまってもおかしくはない。
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