上京3カ月の作家・大前粟生が未だ東京になじめない理由 「東京と東京性のあいだにいるような感覚がある」

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東京と東京性のあいだにいる感覚

 東京に対してのそんな雰囲気を抱えたまま上京して来て、妙な言い方かもしれないが、東京と東京性のあいだにいるような感覚がある。暮らしはじめてまだ日が浅いからだろうか。具体的な生活の場としての土地と、イメージとしての土地、そのどちらにもなじめてはいないようで、ふとした折に、自分は今どこにいるんだっけ?と現在地がわからなくなったりする。そのことにギョッとすることもあれば、案外そんなものかもしれない、とあっけらかんと思うこともある。

 案外、どこに住んでも似たような景色があり、似たような人たちがいて、似たような部屋に帰っていく人生なのではないかな、と。

大前粟生(おおまえ・あお)
1992年生まれ。小説家。2016年に「彼女をバスタブにいれて燃やす」でデビュー。最新刊は『柴犬二匹でサイクロン』(書肆侃侃房)。

デイリー新潮編集部

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