カズレーサーが10月から初の冠番組 「家事ヤロウ」でのMCより期待できるワケ

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本業の漫才でも型破り

 規格外の男という訳だが、本業の漫才も独創的。2012年に結成した安藤なつ(41)とのコンビ「メイプル超合金」の漫才で、外食店の食べ放題について話が及ぶと、「元を取るにはもうレジのカネを抜くしかないね」と軽く言ってのけた。ただし、面白いのは間違いなく、コンビ結成3年目の2015年には漫才新人大賞(主催・漫才協会)を得て、M-1グランプリの決勝に進出した。

 カズは既に「家事ヤロウ!!!」(テレビ朝日)のMCをバカリズム(46)、KAT-TUNの中丸雄一(38)と一緒に務めているものの、持ち味が存分に発揮されているとは言い難い。3人によるトロイカ体制のような形で番組が進められているからだ。

 半面、日テレの新番組は単独MCだから、カズは思い切り自分の個性を出せる。カズのファンにとってもたまらない番組になるはず。

 カズはピン芸人として芸能界入りしてから15年。いよいよターニングポイントを迎えた。まだ38歳と若いので、次代のバラエティ界を背負うのではないか。この番組が成功を収めたら、次々とカズの単独MC番組が生まれそうだ。

 一方、民放の視聴率王者で売り上げトップの日テレは、さらなる番組強化を図る。ブッちぎりで強いから強化は楽だ。パワーダウンした番組を差し替えるだけで済む。

日テレの強化戦略

 例えば4月改編では世帯視聴率7%前後、個人視聴率とコア視聴率がそれぞれ4%前後まで落ちていた「人生が変わる1分間の深イイ話」(月曜午後9時)を終わらせた。

 代わりに同じ月曜の午後10時台の放送ながら同程度の視聴率を得ていた「しゃべくり007」を1時間繰り上げた。

 それによって4月以降の「しゃべくり――」は10%近い世帯視聴率と6%前後の個人視聴率と7%前後のコア視聴率をマークするようになった。大幅増である。

 日テレは早くから綿密なマーケティングを行い、それをフルに活用しているので、「しゃべくり――」は1時間早めて若い視聴者が見やすいようにしたほうがベターと踏んだのだろう。

 さて、日テレがカズの新冠番組をどの時間帯で放送するのかというと、「一撃解明バラエティ ひと目でわかる!!」(火曜午後10時)の後続番組となる。

「一撃解明――」は「幸せ!ボンビーガール」の後続番組として昨年10月に始まった。MCにKAT-TUNの亀梨和也(36)を起用するなど力の入った情報バラエティだったが、視聴率が伸び悩んだ。世帯が6%前後。個人とコアは3%前後にとどまっている。

 カズの親冠番組が火曜午後10時台の視聴習慣を変えるか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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