安倍後継問題 “ゴッドマザー”が「安倍家断絶」を受け入れる可能性はあるのか 地元の複雑すぎる事情
誰が亡くなった安倍晋三氏の跡を継ぐのか――。すべては晋三氏の母で御年94 歳の“ゴッドマザー”こと安倍洋子さんの胸先三寸だと言われている。候補者として取り沙汰されているのは、洋子さんの4人の孫たち。他の世襲議員たちの思惑も入り乱れるなか、いま山口の政界は風雲急を告げている。
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【写真】“ゴッドマザー”こと安倍洋子さんの誕生日を祝う安倍・岸ファミリー
自ら香典返しを選んだ
「洋子さんは車椅子での生活ですが、94歳とは思えぬほど矍鑠(かくしゃく)としている。晋三さんの弔問客に配られた香典返しの今治タオルも自ら選んだと聞いています。後継選びは洋子さんの意向を聞かない限り始まらないのですが、まだ何も伝わってきてはいません」
こう語るのは、自民党山口県連関係者だ。晋三氏が凶弾に倒れてから3週間が経過したが、山口4区の後継問題はまだ糸口が見えてこない。
国会議員の辞職や死去に伴う補欠選挙は、4月と10月にまとめて行われる。公職選挙法では、9月15日までに欠員が出た場合の補選は10月の第4日曜日と定められており、通常ならば7月に亡くなった安倍氏の補選は10月に行われるはずだ。だが、今回は来年4月に延期される公算が大きいと言われている。
昨年10月に行われた衆院選の「一票の格差」をめぐる最高裁審理が継続中のためである。確定判決が9月15日までに出れば規定通り10月となるが、それ以降に出た場合は来年4月に持ち越しとなる。今のところ、判決は9月中には出ないだろうと言われているが、
「もし出てしまった時、それから候補者を決めるなんて目も当てられない。万一に備え、9月半ばまでには決めておく必要がある。9月27日に予定されている国葬前には決めたいというのが県連の意向。『本格的な話し合いは“四十九日法要(8月25日)”が明けてからだろう』と、皆口々に言っています」(同)
ゴッドマザーの4人の孫
昭恵夫人は早々に出馬しないと公言した。晋三氏と昭恵夫人との間には子供がいないため、後継候補は洋子さんの4人の孫となる。晋三氏の兄・安倍寛信氏(元三菱商事パッケージング代表取締役社長)の長男である寛人氏と長女の万莉子氏 。そして、晋三氏の弟である岸信夫・防衛相の長男である信千世氏と次男の智弘氏である。
「兄・寛信氏の長男で三菱商事に勤務する寛人氏は、政治には一切関心がないとかねてから周囲に語っています。長女の万莉子氏も同様。一方、岸信夫氏の長男でその秘書官を務める信千世氏は、父の地盤である山口2区をそのまま継ぐことが有力視されている。とすると、残るは信夫氏の次男で三井不動産に勤務する智弘氏しかいない」(地元政界関係者)
智弘氏をめぐっては、もし継がせるならば「安倍」の姓を名乗らせるべきという声もあり、智弘氏を昭恵夫人と養子縁組させる案まで浮上している。だが、これも憶測の域を出ない。当の智弘氏が政治に関心を持っているのかも不明であるし、何より洋子さんの意向が見えてこないからだ。
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