「中村警察庁長官」が国葬後に辞職へ 逮捕状の握り潰しや元首相秘書・子息への忖度捜査で「官邸の番犬」と呼ばれたスーパー官僚の出世すごろく

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官房長官秘書官から警視庁刑事部長へ

 ある財界関係者によると、

「些細なことでも2人は連絡を取り合っているように見えましたね。菅さんは色んな人と会って話を聞き出して政治に生かす手法を採っていましたが、それをフォローしていたのが中村氏でした。菅さんに有用だと思った人をくっつけることもやっており、個人秘書のような存在だったと言えるでしょう」

 高い支持率を背景に国論を二分しかねない法案を成立させる一方、国政選挙には連戦連勝で長期政権を築き続ける安倍政権にあって、菅官房長官とその懐刀の中村氏は余人をもって代えがたい存在となる。

「そろそろ秘書官が交代するのではと憶測が流れても実際にはそうならず、結局2015年春まで、民主党政権時代を含めて5年半のあいだ秘書官を務めることになりました。その後、警視庁刑事部のトップである刑事部長に着任します。その頃からすでに、将来の警察庁長官就任はほぼ間違いなしと言われるようになります」(前出の社会部デスク)

 刑事部長に就くにあたって懸案だったのは、捜査二課の仕事ぶりだった。

逮捕状握り潰しの決済

「着任直前の2014年、知能犯を担当する捜査二課は、贈収賄案件を1件も摘発することができませんでした。過去30年で初めてゼロだったなどと新聞にも書かれて、二課のみならず警視庁の汚点として記録されることになりました。中村氏はこれに積極的に取り組むよう指示し、4件の贈収賄事件を捜査二課に摘発させます。実際は中村氏自身が情報を持ってきたようなのですが、機を見るに敏と言うか、過去の捜査二課人脈を遺憾なく発揮したというか、出世する人は結果もしっかり出すものなのだなと感心したものです」(同)

 仮にそれが刑事部長として光の部分であったとしたら、陰の部分が「逮捕状の握り潰し」案件だったと言えるだろう。

 改めておさらいしておくと、2015年6月、警視庁高輪署は元TBS記者の山口敬之氏に対し、フリージャーナリスト・伊藤詩織さんへの準強姦容疑で逮捕状を取り、捜査をさらに進めようとしていた。しかし、当時、警視庁刑事部長だった中村氏が逮捕の中止を命じたことで直前になって取り止めとなった(最高裁は今年7月7日、「山口氏による性的暴行があった」ことを認めた)。

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