統一教会が狙う“だまされやすい”職業は? 妹を洗脳から救出した男性が“壮絶な戦い”を明かす
1980年代以降、統一教会による霊感商法の実態は徐々に明かされていった。92年の「合同結婚式」には有名人も参加、異様な光景が巷に衝撃を与えたのだが、以来30年。教団の本質は変わらず、苦しめられてきた家族も後を絶たない――。
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宗教ジャーナリストの藤倉善郎氏が言う。
「世界中で活動する統一教会の運営資金の多くは、日本で得られています。本国の韓国では献金などのノルマはさほど厳しくなく、日本のことは“サタンの国”で、朝鮮を植民地にして多くの人民を苦しめてきたひどい国なのだと喧伝している。そのため、カネと人材の両面で韓国はじめ全世界の支部を支えることが日本の責務であるというのです」
これが霊感商法や献金の原動力となってきたといい、
「だから今回の山上容疑者の母親のように1億円ともいわれる献金をしてしまう。霊感商法については、かつては正式に信者になっているかどうかにかかわらず、お金を持っていそうだと踏めば、ちゅうちょなく高額商品を売りつけていました」(同)
「教義自体が脅し」
実際の手口としては、
「布教の際、最初は自分たちの素性を隠してターゲットに接近します。以前に多かったのは街頭で“手相を見せてください”と近づき、悩み事などを聞き出して勉強会に誘うというもの。カルチャーセンターのような場で“今の時代は混迷している。共産主義の台頭は恐ろしい”などと、徐々に教義の勉強をさせていく。ある程度まで進むと“実はこれまでの話は文鮮明という方の教えです”と正体を明かし、入信を勧めるのです」(同)
2009年には印鑑や水晶販売をめぐって全国で信者の摘発が相次ぎ、教団は「コンプライアンス」徹底を謳ってきたという。
「以前のように直接的に脅したりするケースは抑制気味に見えますが、“先祖を供養しないと大変なことになる”という精神状態に追い込むなど、教義自体が脅しのようなもので、イベントで“寄付をしましょう”と呼びかけられれば、信者はお金を使う。むしろターゲットを狭めて囲うようになっており、よりたちが悪いともいえます」(同)
藤倉氏によれば、最近は街頭で清掃ボランティアサークルを装って声を掛けたり、また“家系図の勉強をしましょう”といったチラシを投函したりする勧誘が行われているという。
前述の通り日本の信者はまさしく金づるで、教団の資産のおよそ9割が日本で稼いだ分だとされる。とりわけ1990年代のピーク時には、霊感商法と献金によって日本国内だけで約4900億円もの資金が集まっていた。
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