靖国参拝直後に語った「御霊(みたま)安らかなれ」 安倍晋三元総理の名スピーチを振り返る(4)

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 安倍晋三元総理の評価が人によって両極端に分かれる理由の一つとしては、靖国神社参拝が挙げられるだろう。靖国イコール悪しき軍国主義の象徴のように捉える人にとって参拝は許されざる行為であり、またいくつかの近隣国にとっては格好の批判の材料でもあった。

 しかし、当然のことながら安倍元総理は戦前回帰を願って参拝していたわけではない。安倍元総理の名スピーチ、演説を紹介する本企画の4回目は、第2次政権が発足したちょうど1年後、参拝後の安倍元総理が語ったことを全文紹介しよう。

(以下、安倍晋三『日本の決意』所収「御霊(みたま)安らかなれ」より)

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 本日、靖国神社に参拝し、国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊(ごえいれい)に対して、哀悼の誠をささげるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。また、戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀(ごうし)されない国内、および諸外国の人々を慰霊する鎮霊社にも、参拝いたしました。

 御英霊に対して手を合わせながら、現在、日本が平和であることのありがたさをかみしめました。

 今の日本の平和と繁栄は、今を生きる人だけで成り立っているわけではありません。愛する妻や子どもたちの幸せを祈り、育ててくれた父や母を思いながら、戦場に倒れたたくさんの方々。その尊い犠牲の上に、私たちの平和と繁栄があります。

 きょうは、そのことに改めて思いを致し、心からの敬意と感謝の念を持って、参拝いたしました。

戦争を起こしてはならない

 日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています。戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました。同時に、二度と戦争の惨禍に苦しむことが無い時代をつくらなければならない。アジアの友人、世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまいりました。

 日本は、戦後68年間にわたり、自由で民主的な国をつくり、ひたすらに平和の道を邁進してきました。今後もこの姿勢を貫くことに一点の曇りもありません。世界の平和と安定、そして繁栄のために、国際協調の下、今後その責任を果たしてまいります。

 靖国神社への参拝については、残念ながら、政治問題、外交問題化している現実があります。

 靖国参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、御英霊に、政権1年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を、お伝えするためです。

 中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません。靖国神社に参拝した歴代の首相がそうであったように、人格を尊重し、自由と民主主義を守り、中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています。

 国民の皆さんのご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

(2013年12月26日 靖国神社参拝後の談話)

デイリー新潮編集部

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