夫婦で「秘密のパーティー」を楽しむはずが… 妻を寝取られた夫が今さら持ち出す“彼女の過去”

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そして事件が起きた

 それから妻はどんどん変わっていった。彼から見ても開放的な魅力に満ちていた。彼は自分が一目惚れしたのは、彼女の『翳り』だったのだと改めて思ったという。

「妻にはすっかり翳りがなくなり、華やかな女性へと変貌していきました。それは見ていて快いほどの激変で。そういうパーティーにいっても、彼女は中心人物になるくらいのオーラを放っていましたね」

 そして1年半がたったころ、妻はパーティーで知り合った他の男性と恋に落ちた。遼太郎さんは、見ていてその男性と妻が本気で恋をしているとわかったそうだ。

「彼、真也さんというんですが、僕より年上で、3年前に知り合ったときすでに50代半ばだったと思います。同年代の奥さんはおとなしいタイプで、夫がうちの妻とあれこれしているのにをじっと見ているような人でした」

 つらかった、と遼太郎さんはつぶやいた。妻を愛しているのに、その妻を寝取られたのだ。しかも妻が本気になっているのがわかる。自分ではだめなのか。こういうこともあるとわかっていたが、それでもやはり嫉妬で身を裂かれるような思いだった。

「それがちょうどコロナ禍直前でした。コロナ禍に入るとさすがにそういったパーティーも開かれなくなった。でも妻はどうやらこっそり真也さんと会っていたようです。そして今年に入ってから、彼女は『しばらく別居してもいい?』と言い出した。『真也さんと一緒になるのか』と言ったら、『ううん。離婚はしたくないの。またあなたの元へ戻ってくるから。少しの間でいいのよ、好きにさせて』と。結婚したときとまったく違う妻になってしまったのに、僕は怒ることもできない。『あなたが嫌なら離婚するしかないけど。ごめんね』と妻は言いました。『でも恋をしたのは初めてなの』と。わかりますよ、見ていれば。彼女が恋したのは僕じゃない。それも事実。でもいつかは戻ってくると言う。ああいう世界はあくまでも『遊び』です。大人だからできる遊び。なのに妻は本気になった。ルール違反だと思うけど、気持ちの問題に文句をつけてもどうにもならない」

 そして妻は出て行った。真也さんとマンスリーマンションで暮らしているという。日に一度は連絡がある。真也さんの妻がどういう思いでいるのか気になって、妻に尋ねてみたことがあるが、「それは真也さん夫婦の問題だから、私は知らない」と史奈さんに言われた。

「それもそうだと思いました。結局、史奈は僕を踏み台にして飛んで行ってしまった。いつかは戻ってくると言っていますが、待てないなら言ってねとも言われています。彼女は僕がいなくても生きていけるんですね」

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