夫婦で「秘密のパーティー」を楽しむはずが… 妻を寝取られた夫が今さら持ち出す“彼女の過去”
遼太郎さんの“暗部”
ここから、彼はさらに自分の“暗部”も語り始めた。
「僕は実体験には乏しいんですが、昔から淫靡な性に憧れていました。たとえば妻の前で他の女性とするとか。逆でもいいんです。僕の前で妻が他の男と……とか。胸が苦しくなるような光景なんだけど、それによって僕と妻の間に、誰にも言えない秘密ができる。その秘密をふたりで大事に抱えていく。そんな夫婦関係になれることを理想としていました」
学生時代から憧れてはいたが、具体的にこういうことがしたいと思い至ったのは史奈さんと結婚してからだ。
「史奈が僕の願いをどこまで叶えてくれるのか、それによって愛情を測りたいと思っているのかもしれない。自分の愛情に自信がもてないのか、史奈からの愛情を疑っているのか。いずれにしてもその思いはどんどん大きくなっていって、僕自身、どうしたらいいかわからなくなっていきました」
10代のころ、自分の性欲に負けて受験勉強が手に着かなかったという話を聞くことがあるが、40歳もとうに過ぎてそういうことで悶々としている人もいるのである。性的嗜好や欲望は人それぞれだ。
「44歳の誕生日を迎えるとき、史奈が『あなたの誕生日、何がほしい? ほしいものやしてほしいことがあれば何でもかなえてあげる』と言ってくれたんです。ホント? と何度も聞いて、誤解がないように聞いてほしいんだけどと、僕の願望を明らかにしました。『史奈が他の男性としているところを見たい』と」
史奈さんは黙り込んだ。しばらくたってから、「私が性を避けているのをあなたは知ってるよね」とつぶやいた。
「あなたとしたくないわけではない、だけど怖いの。彼女はそう言ってうつむきました。おそろしく暗い顔をしていたけど泣いてはいなかった。そして史奈は『わかった。そういう場所に行ってみよう。でも私が何かするかどうかは別の話よ』って。行くだけならOKというわけです」
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