住民4700人のうち外国人は半数以上 元エリート商社マンが川口市「芝園団地」に住みついた意外なキッカケ

国内 社会

  • ブックマーク

「人間力大賞総務大臣奨励賞」

「地域に新しい風を入れるために、自治会を外部に開いていく必要があると思いました。多文化共生関連の大学の勉強会やフォーラムに参加して、学生に『芝園団地を見学してみませんか』と声をかけました。大学教授に知り合いがいなかったのでネットで検索してメールしましたが、返信がありませんでした」

 岡﨑氏は最後の手段として、アポイントなしで大学教授の研究室を訪れ、ゼミ生を紹介してもらったという。2015年2月、大学生のボランティア団体を招いて日本人と外国人の交流を行う「芝園かけはしプロジェクト」を発足させ、2016年2月から月に1回「多文化交流クラブ」を開催。日本人と外国人が意見交換し、持ち寄りの食事会も行っている。

 岡﨑氏は、松下政経塾を卒塾後も芝園団地に住み続け、2017年、自治会事務局長に就任した。

「その年の11月、『多文化交流クラブ』で日中交流『ものつくり教室』を開きました。そこでは日本の折り紙と中国の切り紙のイベントになりました。子どもたちも参加して大いに盛り上がったのです」

 芝園団地の自治会は2018年、多文化共生に貢献したとして、「国際交流基金」の表彰を受けた。また岡﨑氏も同年、日本青年会議所「人間力大賞総務大臣奨励賞」を受賞した。

「芝園団地には当分住み続けるつもりです。自治会活動しながら、財団法人日本国際協力センターと業務提携し、国際交流事業などの仕事に携わっています。芝園団地の住人は、高齢者の日本人と若い外国人です。少子高齢化に歯止めがかからない将来の日本の縮図だと思います。いずれ外国人は日本での働き手として必要な存在になります。外国人が日本で気持ち良く暮らしていけないと、日本で働いてもらえませんからね」

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。