「節約のプロ」はコンビニをどう使っているか スーパーからハシゴであえて買う一品

  • ブックマーク

子ども時代のコンビニは『ジャンプ』を買う場所

渡辺:和田先生って昔から節約主義だったんですか?

和田:いえいえ。節約を意識するようになったのは結婚してからです。

渡辺:では、それ以前は普通にコンビニを利用していたんですか?

和田:もちろんです。子どもの頃からお世話になってましたよ。小学生時代は毎週コンビニで『週刊少年ジャンプ』(集英社)を買うのが楽しみでしたから(笑)。

渡辺:和田先生、『ジャンプ』買ってたんですか!

和田:大好きでした。『キン肉マン』、『キャプテン翼』、『シティーハンター』、『ドラゴンボール』…。

渡辺:『ジャンプ』の全盛期は発行部数600万部を突破した90年代ですが、80年代当時も大人気でしたね。

和田:毎週、月曜日の朝は早起きしてコンビニで『ジャンプ』を購入し、読んでから朝ごはんを食べて学校に行ってましたね。

渡辺:僕がコンビニ店長をしていた時代も『ジャンプ』人気は凄かった。深夜に梱包された状態で届くんですけど、僕らが梱包をほどくのを「早くしろよ!」という雰囲気で待ってるお客さんのプレッシャーが凄かったです。

和田:日曜日に『ジャンプ』を売ってる店舗もありましたよね?

渡辺:それは個人商店じゃないですか? コンビニは発売日を迎えた深夜に届くのが一般的で、発売日を守る店舗がほとんどだったと思います。それにしても、当時に比べると今はコンビニで雑誌全般が売れなくなってしまいました。売り場も減る一方で、かつては雑誌ゴンドラを6台くらい設置している店舗が多かったのですが、今では1~2台です。

和田:たしかに、コンビニで雑誌を買う機会は減りましたね。

渡辺:その結果、空いたスペースをイートインとして活用する店舗も増えました。

和田:なるほど!

渡辺:でも、イートインのある店舗で「店内でお召し上がりですか?」と確認する店員、ほとんどいなくないですか?

和田:たしかに! 増税直後、軽減税率が話題になったときはあったと思いますが……。

渡辺:そうなんですよ。軽減税率によって消費税8%据え置きになった食品も、イートインの場合は10%です。しかし、増税直後こそ徹底されていましたが、今は会計時に確認を忘れている店員も少なくない。イートインが常設されているミニストップは別として、ほかのチェーンはかなり緩くなっている印象を受けます。お客さんも忘れているので、結果的に“イートイン脱税”になってしまっているケースは、かなり多いと思うんです。

和田:仕事の移動中に短時間だけ休憩したいとき、カフェよりもイートインのあるコンビニの方が安くて便利なんですけど、消費者側も気をつけなくてはいけませんね。

渡辺:飲食店は徹底しやすいかもしれませんが、コンビニのような食品以外の商品も多く扱う店舗では難しい部分もあります。もしも形骸化してしまうのならば、「イートインは消費税10%」という法律そのものを見直す必要があるかもしれませんね。

(取材・構成/松本晋平)

和田由貴(わだ・ゆうき)
日本女子大学家政学部卒業。消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、暮らしや家事の専門家として多方面で活動。また、環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートでもあり、2007年には「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3Rマイスター)」に委嘱されるなど、環境問題にも精通している。『和田由貴のシンプル節約術』(あさ出版)など著書を多数執筆するほか、WEB記事の連載、テレビ出演など多くのメディアでも活躍中。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。コンビニジャーナリスト。1967年静岡県浜松市生まれ。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、TOKYO FM『馬渕・渡辺の#ビジトピ』パーソナリティ。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。