「節約のプロ」はコンビニをどう使っているか スーパーからハシゴであえて買う一品

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『あなたとコンビニとニッポン』和田由貴×渡辺広明

 全国5万8000店舗、年間155億人が買い物する“コンビニ超大国ニッポン”。老若男女、昼夜を問わずさまざまな人が訪れるコンビニは、その目的や利用方法も人によってさまざまだ。「コンビニとの付き合い方」を覗いた先に見えてくるものとは? コンビニジャーナリスト・渡辺広明氏が、ゲストを招きコンビニについて大いに語り合う──。

 今回のゲストは、物価高騰が相次ぐなかで各メディアに引っ張りだこの節約アドバイザー・和田由貴氏。「節約」と「コンビニ」、一見、相性が悪そうに思える組み合わせだが、意外なことにコンビニにも節約に優れた商品があるという。はたして節約アドバイザーである彼女は、コンビニをどのように活用しているのだろうか?

PBの登場でコンビニの印象が変わった

渡辺広明(以下、渡辺):和田先生と言えば“節約”ですが、そもそもコンビニを利用されることってありますか?

和田由貴(以下、和田):もちろん、ありますよ。

渡辺:でも、コンビニは定価販売が基本なので、節約家にとっては敵みたいな存在じゃないですか。

和田:さすがに敵とまでは思いませんよ(笑)。でも、一時期は主婦として「とくに買うものがない」という印象を抱いていました。だから、時間帯や振込先によって手数料が無料になるATMや宅配便の発送など、サービスの利用が中心でしたね。

渡辺:「一時期」と言いますと、現在の印象は違うのでしょうか。

和田:PB(プライベートブランド)の登場で、コンビニに対する印象が大きく変わりました。食品にしても日用品にしても、スーパーと比較した際に「コンビニの方が安いのでは?」と感じる機会が増えました。

渡辺:ありがとうございます! 和田先生なら絶対PBの話題を出してくれると思ってたんですよ。

和田:そうだったんですか(笑)。

渡辺:PBの有用性に気づいたのはいつ頃か覚えていますか?

和田:結構前だと思います。10年前くらいかな?

渡辺:社会的にもコンビニの印象が大きく変わった時期ですね。日常使いのお客さんを取り込むべく、大手チェーンがPBの強化に取り組み始めたのが2000年代後半のことですが、はからずも2011年に起きた東日本大震災以降、主婦層やシニア層にPBの魅力が届くことになりました。震災時、セブン-イレブン(以下、セブン)が被災地に商品供給を行った結果、それまでコンビニを利用する機会が少なかった主婦層やシニア層が「コンビニのPBは低価格だけど意外と品質が良い」と気がついたんです。しかも、折しも震災直前にセブンはキャッチフレーズを「開いててよかった」から「近くて便利」に変更したところで、まさにその通りになった恰好です。

和田:仰る通りですね。以前は「スーパーが営業時間外だから」などの緊急時しか利用しませんでしたが、PBを知ってからは「あえてコンビニで買う」という選択が増えました。

渡辺:具体的に、どのようなPBを買いますか?

和田:セブンの「カット野菜」です。カット野菜はスーパーでも扱っていますが、価格・品質・量などを考慮すると、セブンのカット野菜は非常に優れていると思います。食品の買い物は近所のスーパーがメインですが、カット野菜を購入するときだけはスーパーからハシゴしてセブンに寄っています。

渡辺:購買力で言えば、大手コンビニチェーンは多くのスーパーを圧倒しますからね。PBの開発において、コンビニの方が低価格・高品質を実現しやすいんです。また、スーパーは家族を相手にした商品が多い一方、コンビニは1人暮らしや2人暮らしを相手にしているので、適切な量を購入しやすいという利点もあります。

和田:そうなんですよ。すでに子どもたちも自立してますし、夫は単身赴任です。今の私の生活環境ならば、野菜をまるごと買っても使い切れない可能性がありますし、コンビニのカット野菜がちょうどいいんですよね。

渡辺:いや、本当によかった。節約を徹底している人って、そもそもコンビニに立ち寄らない人が多いので、コンビニPBの魅力を知らずに敬遠しているケースも少なくないと思っていたんです。

和田:それはあるかもしれません。でも、コンビニPBは食品に限らず日用品も良いですよね。たとえばスーパーで洗剤を買おうとすると、大手メーカーのブランドが中心で、ほぼ定価なんですよ。一方、コンビニPBの洗剤は大手の商品よりも低価格で売られていて、品質も一定のクオリティを保っています。ドラッグストアなどの安価で購入できる店舗が近隣になければ、日用品でもコンビニPBを利用する価値は十分にあると思います。

渡辺:節約アドバイザーにそう言っていただけると心強い!

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