相席・山添が売れた本当の理由は「クズキャラ」ではない？ ノブコブ徳井が明かす「相席スタート」の素顔
淡々とトークして見せた「じゃない方」だった山添
だが、「アメトーーク！」のすごいところは編集だ。大改造をしてくれる。だから順番や盛り上がりは関係なく、自分の言いたいこと、伝えたいことを空気も読まずに喋らせてもらう。もちろん、僕と違って腕のある芸人さんたちは収録中にたくさん笑いを生み出すが、収録後「いやー今日の収録はウケたねぇ」など、そんな満足気な声はほとんど耳にしたことがない。
それくらい、お笑いにまっすぐな人たちが集まる「アメトーーク！」は、毎回緊張感みなぎる現場なのだ。
そのスタジオで、まだ「じゃない方」だった時代の山添は一度も噛むことなく、穏やかに淡々とトークしていた。ように僕には見えた。
先輩にいじられた時にも早口にならず、自分を俯瞰で捉えながら、ひとひねりある返しを即座にし、しっかり笑いを取っていた。ひょっとしたら、単に感情が欠落しているタイプなだけかもしれない。
だが、それくらいの体温でいるのがちょうどいいのが芸能界だ。新星現る！と赤い太文字でガシャガシャと役物の作動と同時に予告が起きるパチンコ台みたいな、堂々たる「アメトーーク！」での立ち回りだった。
クズキャラをできるのは「全員いい人」
その山添がいま、クズ芸人としてブレークを果たす。至極当たり前のような流れだが、あえて言わせてもらえば山添がクズなわけがない。
これは営業妨害でも何でもない。メディアでクズを謳える人は、全員いい人なのだ。いや、いい人ではないか。「バラエティーに特化することができる人」とでも言えばいいのだろうか。
極端なことを言えば、メディアで「いい人」な部分しか見せない人は、逆に怪しんだ方がいいかもしれない。
山添の場合は、求められるキャラに応えて、その場を円滑に進めたり、笑いにしたりできる、芸人としての才能に溢れていると僕は思っている。芸人には可愛げが必要だ、というのは有名な話だが、山添にはそれに加えて品もある。
あれだけ金がない、借金がある、といつも言っているタイプの人間にしては、たたずまいやトークの仕方が妙にゆったりしているのだ。僕がそうだからわかるのだが、ギャンブラーにありがちの、自分の欲求や感情のままに発言したり行動したりはしない。ちゃんと世間に寄り添ったスピードでお笑いをやっている。これは品だ。
しかも山添の品は先天的で、きっと愛され大切にされて育ったんだろうな、と僕は思う。
「クズ」にカテゴライズされるにもかかわらず、芸人仲間にも好かれ、その縁が広まり、スタッフや視聴者にも好かれる。
きっと相方のケイちゃんも山添と同じ速度なのだと思う。そんな令和のスローテンポコンビとは、よく仕事で絡む。
対して、平成ノブシコブシは二人とも、自分らの欲求や欲望のままに発言や行動を繰り返し、後先考えずハイスピードで動いてきた。
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