相席・山添が売れた本当の理由は「クズキャラ」ではない? ノブコブ徳井が明かす「相席スタート」の素顔

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結成前の双方のコンビも超優秀

 今年2月、お笑いについて熱く考察するエッセイ『敗北からの芸人論』を上梓した平成ノブシコブシ徳井健太さん。今回語るテーマは「相席スタート」。ツッコミの山添寛は。ボケの山崎ケイから借金をしている、などのクズエピソードで知られるが、二人がブレークした背景には、絶妙なコンビ間の関係性があるそうで――。

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「徳井さんのお笑い考察コラム、僕らのことも書いて下さいよ」

 そんな嬉しいことを山添(寛)が言ってくれたのは、もう2年以上も前のことだ。

 あの頃はまだ現在の相席スタートの、破竹の勢いはなかったかもしれない。それでも「相席スタートも山添も絶対に売れるから大丈夫」と僕は山添に会う度に伝えていた。

 とはいっても、相席スタートは結成からたった4年足らずでM-1の決勝に進んだコンビ。特に相方の(山崎)ケイちゃんは頭脳明晰で、独自の立ち位置からまっとうな社会人としての意見も通していた。その流れで4年前には本を出し、それがドラマ化されたりもした。

 あの頃の山添は俗に言う「じゃない方」。今考えると信じられないことだ。

 2013年に二人がコンビを組む前は、ケイちゃんはKBBYというコンビ、山添はヒダリウマ、というコンビだった。

 今更言われたくもないだろうが、どちらも超優秀なコンビで有名だった。ケイちゃんの元コンビ名「KBBY」は、ケイ山崎とBBのコンビだからKBBY、らしい。この理由を聞くだけでもう普通じゃないし、鬼のようなセンスと世間への反抗心を感じる。

 けれど二組とも2012年に惜しまれつつも解散、紆余曲折を経て、二人は男女コンビとしてお笑いの舞台によみがえる。

「アメトーーク!」が決して楽しくない

 そしてあっという間に、キングオブコントやM-1グランプリで毎年、準決勝へと駒を進める。中でも僕が特に印象的だったのは、2016年のM-1決勝での二人の落ち着きぶりだ。初めての大舞台でも、いつも通りの相席スタートがそこにいた。その後山添が「アメトーーク!」に出演した時も驚いた。もう何十年も一人でラジオのパーソナリティーを務めているくらい、穏やかで落ち着いていたのだ。

 僕が驚いたのは、「アメトーーク!」は戦場だからだ。

 テレビで見る限り、とても楽しそうに映るだろうし、出演した芸人も口では「楽しい」とうそぶく。

 僕の実感としては、楽しいなんて思えるのは売れまくってる人か、売れるのを諦めて開き直った人だけで、「アメトーーク!」は決して楽しくなんかない。

 きっちり爪痕を残せるかどうかーーそのプレッシャーが本番前も収録中も本番後も肩と後頭部からずっしりとのしかかってくる。

 僕は、うまくいったことがほとんどない。収録中の半分以上で滑っているというのが正直なところ。

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